初めて小林君の家を訪問したときのことである。
いつも通りにやや緊張して玄関の脇にあるチャイムを鳴らした。
いや、いつもよりもさらに緊張していたかもしれない。
何せかなりの訳ありの生徒なのである。
高校在学中の登校時に他校の生徒と駅でけんかになり、相手に怪我を負わして、
傷害事件とされた結果、学校を退学となった少年である。
さらに親の転勤に伴い松本市に引っ越したが、そこでも悪い仲間とつるんでしまい、
高校復帰のためこの市に住むおじの家に預けられたとの話である。
いつも通りにやや緊張して玄関の脇にあるチャイムを鳴らした。
いや、いつもよりもさらに緊張していたかもしれない。
何せかなりの訳ありの生徒なのである。
高校在学中の登校時に他校の生徒と駅でけんかになり、相手に怪我を負わして、
傷害事件とされた結果、学校を退学となった少年である。
さらに親の転勤に伴い松本市に引っ越したが、そこでも悪い仲間とつるんでしまい、
高校復帰のためこの市に住むおじの家に預けられたとの話である。
ピ~~ンポ~~ン
チャイムの音が玄関の外まで響いて聞こえるが返事がない。
たいていの家での初回は、「待ってました。」と言わんばかりにお母さんが飛び出てくるものである。
もう一度チャイムを鳴らすと同時に玄関の引き戸を開けてみた。
「こんにちは~~。」
すると奥のほうから低く暗い声で返事があった。
「はい。」
出てきた少年は髪の毛が茶色でパーマがかかっている。
眉毛は細く釣りあがっていて、上目遣いにこっちを見ている。
睨みつけているのか、怯えているのか、いずれにせよ好意的な視線ではなかった。
何より印象的なのは真っ赤なスラックスである。
「家庭教師の澤地です。はじめまして。修君ですか?」
俺がそういうと、一言
「はい。」
と答えて奥に引っ込んでしまった。
仕方がないので
「失礼します。」
と家に上がりこみ、彼についていった。
彼が入った部屋は座敷である。
立派な部屋である。
そこに立派なテーブルと分厚い座布団が置かれてあって、
彼は奥の座布団にドカンと座り、下を向いている。
俺は彼の正面の座布団に腰を下ろした。
さて、通常は俺が自己紹介をし、そのあと生徒にも自己紹介をしてもらうのが
俺なりのアイスブレイクの方法である。
しかし、こやつに自己紹介させるわけにもいかない。
まさか自分から
「傷害事件を起こして退学になりました。」
と言わせる必要もないだろう。
少しの間沈黙が続いた。外は静寂そのものである。
彼が一瞬顔を上げた。
俺と目が合った。
その瞬間を逃さず俺は言った。
「自分、メッチャ怖そうやな。」
「え??」
彼はさらに顔を上げた。
「あんな、ええか、俺は勉強を教えに来ただけやから、絶対に俺を殴るなよ。
嫌になったら言うてくれたら終わりにするから絶対に殴るなよ、ええな?」
「あ、、はい。。そんなことしません。」
彼は慌ててそう言った。
「ほんでも学校の途中によその学校のやつを殴って退学になったんやろ?」
「あ、、はい。。まあ、」
「俺、家庭教師に来て殴られて帰ったら洒落にならんからな。」
「だからそんなことしませんって。」
彼は明るくそう言った。
我ながら見事なアイスブレイクだった。
チャイムの音が玄関の外まで響いて聞こえるが返事がない。
たいていの家での初回は、「待ってました。」と言わんばかりにお母さんが飛び出てくるものである。
もう一度チャイムを鳴らすと同時に玄関の引き戸を開けてみた。
「こんにちは~~。」
すると奥のほうから低く暗い声で返事があった。
「はい。」
出てきた少年は髪の毛が茶色でパーマがかかっている。
眉毛は細く釣りあがっていて、上目遣いにこっちを見ている。
睨みつけているのか、怯えているのか、いずれにせよ好意的な視線ではなかった。
何より印象的なのは真っ赤なスラックスである。
「家庭教師の澤地です。はじめまして。修君ですか?」
俺がそういうと、一言
「はい。」
と答えて奥に引っ込んでしまった。
仕方がないので
「失礼します。」
と家に上がりこみ、彼についていった。
彼が入った部屋は座敷である。
立派な部屋である。
そこに立派なテーブルと分厚い座布団が置かれてあって、
彼は奥の座布団にドカンと座り、下を向いている。
俺は彼の正面の座布団に腰を下ろした。
さて、通常は俺が自己紹介をし、そのあと生徒にも自己紹介をしてもらうのが
俺なりのアイスブレイクの方法である。
しかし、こやつに自己紹介させるわけにもいかない。
まさか自分から
「傷害事件を起こして退学になりました。」
と言わせる必要もないだろう。
少しの間沈黙が続いた。外は静寂そのものである。
彼が一瞬顔を上げた。
俺と目が合った。
その瞬間を逃さず俺は言った。
「自分、メッチャ怖そうやな。」
「え??」
彼はさらに顔を上げた。
「あんな、ええか、俺は勉強を教えに来ただけやから、絶対に俺を殴るなよ。
嫌になったら言うてくれたら終わりにするから絶対に殴るなよ、ええな?」
「あ、、はい。。そんなことしません。」
彼は慌ててそう言った。
「ほんでも学校の途中によその学校のやつを殴って退学になったんやろ?」
「あ、、はい。。まあ、」
「俺、家庭教師に来て殴られて帰ったら洒落にならんからな。」
「だからそんなことしませんって。」
彼は明るくそう言った。
我ながら見事なアイスブレイクだった。
これで一応なんとか無難に小林修との家庭教師がスタートしたのである。
ただ気がかりなのは家人が出てこないことである。
きっと隣の店にいるに違いないのだが、挨拶もない。
しかも店の駐車場がいくらでも空いているのにわざわざ数分歩いたところにある公営パーキングに車を停めてほしいと言うし、
「土日、と平日の夜は小学生の息子たちいるので平日の昼間のみ家庭教師をお願いしたい。」
と言うのである。
『修のこの家での立場はどうなっているのだろう??』
そんなことを考えると少し暗い気持ちで家路に着いた。
ただ気がかりなのは家人が出てこないことである。
きっと隣の店にいるに違いないのだが、挨拶もない。
しかも店の駐車場がいくらでも空いているのにわざわざ数分歩いたところにある公営パーキングに車を停めてほしいと言うし、
「土日、と平日の夜は小学生の息子たちいるので平日の昼間のみ家庭教師をお願いしたい。」
と言うのである。
『修のこの家での立場はどうなっているのだろう??』
そんなことを考えると少し暗い気持ちで家路に着いた。
この物語は俺が体験を基に創作したもので文中の名前などは架空のものである。
なお写真は自分なりのイメージとして載せておく。
なお写真は自分なりのイメージとして載せておく。














