存在するものとしないもの② | トーキングドッグ

存在するものとしないもの②

鳥山明氏の追悼記事の中に、本人のコメント。「ジャンプの他の漫画を読んでいると、こんなに描き込んですごいなぁと思いましたね。一緒に載っているのがちょっと恥ずかしかったです」


もはや嫌味のような笑。


漫画の絵は読者に想像させるもので、それが為されているならシンプルなほどすごい。横線一本を地平線と思わせるような。




鳥山さんの功績はドラゴンクエストのモンスターのデザインも。スライムの造形。最ザコキャラが無機質なモンスターだったら、ドラクエはどうなっていたか。鳥山さんによるモンスターの特長は目である、と語っている人がいたが、「目に表情がある」「人の心に訴えるものがある」というのは、犬が人類の友となった理由と同じである。白目が重要らしい。この辺は語ると長くなる笑。




まあしかし、やはりドラゴンボール。


ウチには何となく「漫画はよくないもの」という認識があったので、幼少の頃は親がたま~に買ってくれるドラえもんの単行本をものすごく大事に読んでいて、それが漫画の原体験であり、週刊誌をリアルタイムで読む行為を始めるのは他の子より遅かった。


初めて週刊誌の連載を目にしたのは忘れもしない、ドラゴンボールの、ベジータとナッパが地球に襲来した回である。アニメは観ていて、悟空が大人になっていて子供がいる、ということに自分はすごい違和感が。周囲はお年頃なので、「悟空が、アレをしたのか!?」と大盛り上がりであった笑。


そこからは週刊漫画誌を読みまくる人生。ドラゴンボールのセル編までの、「つづきが気になる」「つづきが読める」という歓び、高揚感は今思えば異常なほどであった。当初は、漫画を読み続ければ今後もこういう歓びをずっと得られると思っていたが、当然そんな作品に出会えるのはまれである。あれを体験できたのは僥倖であった。


そういうことは後から気づくものだね。