母方のお墓参りをしてしてきました。
本来なら3月のお彼岸の予定でしたが、
予定が合わず、この時期に。
新宿区内にあるお寺は緑が濃く茂り
夏のような暑さも風にさやぐ葉音で
涼しげに感じさせてくれます。
母が本堂にお線香をもらいに行く間、
私は水を汲み、花を桶ににさし、
準備をします。
冷たい水が気持よく、
あぁ、季節はもう夏に向かっているんだなと
感じていました。
片手にお線香の煙りをくゆらせ、
もう片方の手にステッキを持ち
ゆっくりと母がこちらに歩いてきました。
その手からお線香を受取り、
水の入った桶を持つと、
「大丈夫?重くないの?」
母が私を気遣ってくれます。
全然平気よ~って軽く流します。
そして祖母たちが待つ墓石に向かって
歩き出します。
先頭は私。
ここ最近は母が行く道を迷ってしまうので、
私が先頭を歩きます。
目指すお墓に着くと
木瓜の木に水を遣り、
「今年は(開花に)間に合わなくて残念ね」と
お互いに顔を見合わせます。
![木瓜](https://stat.ameba.jp/user_images/20140512/00/talkcare/3e/59/j/t02200148_0274018412938290824.jpg?caw=800)
あ・うんの呼吸。
母娘ですから(笑)
私たちは毎回ここに辿り着くと
決まってお墓を取り囲むように咲く
春は木瓜の花を、
秋は彼岸花の話をします。
そして祖母たちに近況を報告し、
ゆっくりとその場を後にします。
帰り道は母が先頭です。
目印があるので迷わずに歩けるから。
本当に小さくなった後姿。
石畳をひとつひとつ
踏みしめて歩いていきます。
私は歩調を母に合わせて、
後ろからゆっくりと歩いていきます。
まるで、母の生きてきた軌跡をたどるように。
私は母や祖母から十分すぎる愛情を受け、
今、ここにいます。
私には子供がいないので、
こんなふうに私の軌跡を追う人はいません。
でも、それも一つの人生ですよね。
そんなことをゆるりと考えながら
私も石畳のひとつひとつを
踏みしめて歩いていく。
いつか終わる、その時まで私たちは
人生の歩を進めていきます。
ふと見上げた空は怖いくらい青い。
五月の風と夏の予感が
きゅっと胸に迫ります。
また秋には一緒に来れますように。
いつまでも娘でいられますように。
K