この新聞記事をよんで
木下デヴィッドさんがイベントで
「原発を誘致して 盛り上がった地域なんてない」
と言っていたのが具体的にわかりました。
朝日新聞 2008年7月20日 三重岐阜地域総合の紙面より
原発立地地域にアンケートを実施した内容が掲載されました。
記事全文 記載します。
携帯の方も読んでね
以下 紙面掲載文です。
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【調査方法】 6月中旬から7月上旬、原発がある全国21市町村の首長と原発担当者を対象に、財政問題などについて尋ねた。原則として面接方式で実施し、全員から回答を得た。
[原発依存浮き彫り]
東京電力の柏崎刈羽原子力発電所が新潟県中越沖地震で被災し、運転が止まってから1年。
朝日新聞が原発を抱える21市町村にアンケートしたところ、
財政的に原発関連の交付金や税金などに強く依存している実態が改めて浮き彫りになった。
首長たちが他に収入の柱を見出せていない現状もうかがえる。
(まとめ 紺野伸幸)
{財政難、頼みは「増設」福島・双葉町}
「原子力郷土の発展豊かな未来」
福島県双葉町の役場近くにある看板に
こんな標語が書かれている。
国の交付金で設置した町内4箇所にある
広報看板の一つ。福島第一原発5・6号機が
ある「原子力の町」の象徴だ。
地方税などの自前の財源割合を
示す財政力指数は0.80(07年度)
06年度の全国平均0.53を上回り、
健全とされる「1」に近い。だが、
06年度の実質公債費比率(収入に対する
借金返済額の割合)は30.0%で全国
ワースト9位。収入はあるものの、
公共施設建設や道路整備などで
膨らんだ借金の返済に追われている。
今年2月には臨時広報誌を発行し
財政状況を町民に説明。
町有地売却など財政再建への取り組みを
紹介した。4月からは
日常の庁舎清掃の業務委託をやめ、
職員が掃除を始めた。
一方で、原発増設への期待は
大きい。
東京電力が原発の自主点検データ
をごまかして「トラブル隠し」をしていた
ことが発覚したのは02年8月。これを
受けて町議会は7,8号機増設の凍結
を求めたが、昨年6月には一転して
増設容認を決議した。町は昨年10月
「財政が厳しい中、得られるものは得たい」
(井戸川克隆町長)と、
電源立地等初期対策交付金9億8千万円を
国に申請。今年2月に交付が認められた。
70年代に原発建設でにぎわった商店街
は今、週末でも人カゲまばら。町商工会の
会員は10年間で約1割減った。店を営んで
30年になる70代の男性は
「増設で活気が戻るかはわからないが、
この町は原発と一緒に生きていくしかない」
と話した。
キーワード 電源三法
1974年制定の電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、
発電用施設周辺地域整備法の総称。
電気料金の一部を電源開発促進税とし、国が発電所の地元市町村への
交付金や補助金に充てる。
08年度予算では電源立地地域対策交付金1104億円など計約1300億円。
(原発マネーの恩恵)
関連税収の割合 予算の56.7%も
アンケートによると、固定資産税や
法人住民税などの原発関連税収は
静岡県御前崎市、新潟県柏崎市、
石川県志賀町、茨城県東海村の
順に多く、いずれも50億円超。
固定資産税は原価償却で年々
低くなるため、新しい原発がある
自治体は潤い、古い原発を抱える
ところは実入りが少ない。
原発税収が一般会計予算に
占める割合は、宮城県女川町が
56.7%で最も高率。回答した
17市町村のうち12市町村で25%を
超える。鹿児島県薩摩川内市は、
原発が古いため固定資産税が低く、
広域合併で予算規模が拡大したことも
あり、2.9%と突出して低かった。
電源三法に基づく交付金・補助金
も巨額だ。21市町村すべてで累計額
が100億円を超え、福島県富岡町と
柏崎市は500億円以上だった。
原発マネーを背景に、財政力指数は
12市町村で「1」を超える。06年度の
全国平均を下回ったのは、合併が
影響したとみられる宮城県石巻市と
薩摩川内市だけだった。
(運転が止まったら)
新規の受け入れ 12市町村「検討」
原発の運転が止まったらどうなるか。
ほぼ半数にあたる11市町村の
原発担当者は財政悪化への不安感を
示した。
福島県楢葉町は、07年度の税収の
65.7%が原発関連。柏崎刈羽原発の
停止などで東京電力が28年ぶりの赤字
になり、08年度の法人町民税は前年度の
約2億2千万円から約6千万円に激減
する見込みという。
依存原発からの税収が見込めなく
なった場合、12市町村の首長が新たな
原発の受け入れを視野に入れる。
06年に2基目が稼動した志賀町の
細川義雄町長は「いずれ廃炉となるのは
避けられない。しかるべきが時期が
来たときには、住民の判断を仰ぎながら、
新たな原発などの施設の受け入れも
選択肢に入る」と答えた。
愛媛県伊方町の山下和彦町長は
「原発だけに頼らない町づくりの重要性
を十分に意識しており、町民の理解を
得ながら進めていきたい」と慎重ながらも
前向きな姿勢を示した。
「原子力に頼らない」としたのは
石巻の土井喜美夫市長だけ。原発が
ある人口5千人の牡鹿町と05年に合併
したが、約17万人の全市への財政効果が
限定的なこともあり、「新産業への誘致や
既存産業の育成などの施策を進める」と
協調した。
「誘致のメリットは一時的」
清水修二・福島大教授(地方財政論)
地域振興の起爆剤として原発を誘致する市町村の多くは、
もともと財政基盤が弱く、予算規模も小さい。
いったん、電源三法の交付金・補助金が入り始めると、
あっという間に原発頼みの財政体質に変わっていく。
1基の建設費が4千億円以上の巨額投資だけに、
産業構造も建設業への依存度が急激に高くなる。
だが、税収の柱となる原発の固定資産税は原価償却で急速に減る。
財政面・経済面での効果は一時的なものに過ぎず、
膨らんだ財政規模、建設業中心の経済体質は、
なかなか以前の状態には戻らない
原発が立地する地域は人口が少なく、交通の便が悪く、
そもそも企業誘致には向いていない。
原発が生産するのは原材料や半製品、電気というエネルギーなので、
関連産業が育ちにくい特殊性もある。
だから自治体は「新たな原発を地域振興策の選択肢に」と発想する。
逆に言えば、「原発で豊かになったので、もう原発はいりません」
と宣言するようでなければ、本当の地域振興は実現していない
ということだ。
稼動中の原発にも寿命があり、依存できる状況は長く続かない。
柏崎刈羽原発は1年以上も停止しているが、この際
「廃炉シュミレーション」を想定すべきだ。
立地地域の体力があるうちに、将来のことを描いていなくては間に合わない。
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原発を誘致するということは
ハイリスクハイリターンを免れない道を
地域住民のみなさんに強いることになる。
ということは決議をなさるみなさんに覚悟してもらいたいですね。
お金をばらまいたり 選挙でインチキしたりして
引っ張ってくるようなことでないという事。
大規模な施設の誘致決議はすべて 十分な勉強会のもと
「地域住民のその都度住民投票条例」を設ければ
フェアだと思うのですが。
選挙って 「その事だけ」で選ぶ人を決めるわけでもないですからね。