この寝台列車のみが日本で 二か月前から指定券を確保していた。長距離の旅行手段が鉄道から航空機に変わってゆく中で いまだに地元利用者に支持され運行されているとう希少価値。スペイン独特の車両を使ったトレインホテルと称される列車にぜひとも乗車してみたいと思っていた。今日その日がやってきた。


サンタアポローニャ駅に停車している ルシタニア号

号車番号はなぜか三ケタ 一車両に個室6室のみ。

車両の扉が開かれ 乗り込む。やや胸の高鳴りを覚える。

先ほど待合室にいた夫婦は近くの部屋で上下のベッドを使用するようだ。一車両の長さが日本の半分程度。六室とトイレがある。


窓に対してやや斜めに広がる室内

個室として一人利用した。

トランクを収納台に載せて短パンに着替えたりしていると 列車は21時18分静かに動き出した。車掌の検札が来て 乗車券と寝台券を翌日朝まで預かるという。 さらに朝食の供給はないという。

これには期待していただけに落胆した。利用者が少なく採算があわないのだろう。 

最近までこの列車は食堂車が営業をしており 一等の利用者は無料で朝食を提供されているときいて、楽しみにしていたのだが、、、 残念だ。売り上げが伸び悩み 採算がとれなくなったのだろう。いずこの国も事情は共通している。

車内は洗顔ができる水道栓。ペットボトル一本。毛布とシーツ。

折りたためる車内専用のハンガーが備えてある。エアコンは調節できる。部屋のキーは車掌から手渡された。



列車はときどき駅に停車したり 国内の急行に追い抜かれたりしながら マドリッドへ向かう。深夜に国境を越えて、機関車も交替するのでしばらく停車するのだが、眠ってたのか気が付かないまま 過ぎてしまった。

夜が明けて 車窓が白みかけてきたころ、洗面をしていたら車掌が切符を戻してくれ、ドアキーを返却した。

時計を一時間進めて 8時56分列車は定刻にチャマルティン駅に

滑り込んだ。