多くのことは上書きされる。
パソコンでファイルを保存する時、上書き保存するか別に名前をつけて保存するかあり、上書き保存すると、前のファイルは更新される。
最近のクラウドベースのアプリケーションでは、上書き保存しても過去にまで遡れるようだが。
(そもそも、保存するというアクションの概念がないようだが。)
感じていること、やっていることは上書きされる。
過去に遡っても、デジタル保存されるわけではないので、微妙にズレがある。
感じたことを思い起こすという時点で、感じていることと違うことをしているので、当然ながら完璧な再現なんてできない。
上書きは、今までとは違うことであって、それが必ずしも良くなるとか、進化しているとか、成長している、とは限らない。
ただ、感じていることもやっていることも常に上書きされていて、同じところでそのまま維持することはできない。
維持しようとしても、時間の経過とともに変質してしまう。
心地よいと感じたことを、ずっとその状態のままにしようとすると、そのことを握りしめ、やがて「そうしなければ」が現れて、いつの間にか苦しくなってくる。
握りしめていると、自分で気が付かないうちに変質し、感情も上書きされる。
どうも、感じたことでもやっていることでも、上書きされたら、より良くなっていないといけないという強迫観念のようなものがある。
資本主義が拡大再生産を旨としているように。
違うということだけなのに。
そしてその違いは良い悪いということでもない。
その違いは、今までの延長線上ではなく、今までと全く違うことになっているかもしれない。
その違いは時に自分の予期したこと、期待していたことではなかったりする。
そういうこともある、いや、そういうことの方が多いんじゃないか。
上書きされて現れてくることに期待せずにいようと思う。
多分、自分の「今」を感じていれば、上書きされた思いもそのまま受け取り、そのまま過去に流していけるだろう。
そんなことを思ったりしたのです。