「リストラ」とは、そもそも「リ・ストラクション」=「(企業体等の)再構築」の意味で、私が学生時代頃に日本で流行始めた言葉です。欧米ではそもそも「あたりまえ」のことなので、ほぼ「和製英語」。「デファクトスタンダード」みたいなもので、一応英語だけど、そんな言葉アメリカ人はそういう意味で使わない、みたいな「日本人のためだけの英語風の言葉」。
日本で言う「リストラ」とは、はっきりいって、「会社都合」で「余剰人員」を「クビ」にすること、されること。
今まで不採算な事業Aも行ってきた会社が、その事業Aはもうやらなくなった(他の会社に部門ごと売却したり、不採算工場を閉鎖するなど)ので、その事業Aに関連して雇用していた人たちの多くを「クビ」にするような場合に用いられる言葉です。
必ずしも、その人の成績が悪いとか、態度が悪いとか、仕事ができないとか、そういう意味ではなくて、あなたが今まで担当してきたお仕事自体が、うちの会社になくなったので、退職金を少し割増ししてあげるから、悪いけどこの会社辞めて、他でお仕事探してくれる? ごめんね、というのが「典型的なリストラ」です。
バブル前まで、護送船団方式で右肩上がりの成長をしていた日本企業には、そういう文化はありませんでした。年功序列で勤続年数が上がるほど給料は自動的に上がる「終身雇用制度」が日本企業の美徳(?)でした。戦後奇跡の経済復興でGDP世界2位に駆け上がった頃には、こういう「完成された社会主義体制」と揶揄されるほどの「雇用を守る大企業方式」が非常に有効だったのでした。
バブル崩壊し、金融危機などを経て、日本の各種大企業は「恐竜」のような肥大化に耐えきれず、自由化の名の下、雇用は流動化するようになりました。会社の窓際に妖精のように座ってるだけで、給料が年々上がっていくような時代は既に過ぎ去ったのです。
いまどき、たいていの企業では、50代になると、「役職定年」が待ってます。それはまだマシな方で、「肩たたき」のような「片道キップの出向」や、あからさまな「いじめ人事」で「退職に追い込まれる」ことも往々にしてあるのです。ごく一部ほんの1-2%の「役員になれる人」以外は、たいてい「給料は6-7割」に下がる、「一般社員」扱い以下の待遇となります。定年を前にして「シニア雇用」のような人が多くなるのです。
私の会社員時代の友人の多くは、東大・旧帝大・早稲田他MARCH以上の学歴となる人が多いのですが、その多くが、「役職定年」か「出向」で、給料は30代頃並に引き下げられています。
その中でわずかな希望の一人が、TOCKY出身で、某大手企業の役員にまで出世しました。
これが数年前。
すげーなー、希望の星、と思っていたのですが、このたび、彼の部門が事業体として、本社から切り離され、他大手企業に売却されることになりました。
最近、こういうこともあるよね。
巨大な海外マネー等のファンドやコンサルが入って、ブランドごとM&Aされちゃうような事例。
こういうとき、その売却された部門(というかひとつの会社)は、ファンドによって、ほとんどの役員が入れ替えられちゃうというのが通例のようです。
「経営陣」がファンドによって強制的に解雇される。
わたしの友人も、才能を生かし、これまで超がんばって、若くして企業の役員にまで出世したものの、彼のせいとは関係なく、ファンドによって勝手にリストラさせられてしまう。
やだねー。
もちろん、この役員が何かしら問題があったわけでも、無能だったわけでもない。
会社ごと別の会社に買われちゃったから、彼のポストがなくなってしまっただけ。
いまどき、「幸せな定年退職」なんてのは、ほとんどの人には縁の無い「かつての幻想」になってしまったんではないか。
学歴競争にあくせくして、会社命で、海外にも地方にも転勤を繰り返し、普通にがんばってても「役職定年」で、役員になったと思っても、結局会社や仕事がなくなってしまう。
「終身雇用制」とか「年功序列」とかのあの時代がなんとなく懐かしくさえ思います。
「自由化」ってのは結局そういうことだったんだなーと思うのでした。
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2024年は大変な始まり方でしたが、
これからV字回復で、皆様にとってすばらしい一年となりますことをお祈りします。
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