バロック・ヴァイオリンで放浪楽士の真似事などやるようになってもう1年以上になります。
ライブとか演奏会を自主企画してもなかなか集客が上手く行かなかったりして、座して死を待つよりはとか、バロック時代のヴァイオリニストの境遇を追体験するとか、まあいろいろな理由付けはあったのですが、思うに私は本質的にこういうのが好きなんですね。
定住は私はやっぱり向かないんです。帰るところの無い放浪こそ私の音楽の本質であり、漂泊が私の生涯の宿命であると最近思っています。日本人の農耕民族の遺伝子は私には無い。仲間に入れて貰えないのは私には普通のことだし、それについて自分が悪いと思ったことはありません。
私が心惹かれるのは、例えば暗殺されたアルベルティーニやルクレール、後世に知られないまま去った17世紀のヴァイオリニストたち、ジャズではハドソン川に浮かんだアルバート・アイラーとか用心棒に殴り殺されたジャコ・パストリウス、無頼の人生を送ったミュージシャン。これからももっとそれに近づきたいと思うのです。