『解らなければ趣旨で切る』
短答試験の問題で条文の規定が頭に完全に入っているならば、それで解けばいいです。
ただ人間の頭はそこまで完璧ではありません。
その場合、どのように解答していくのでしょうか?
文章の記載の不自然さ。あるいは、絶対と書いてある場合、絶対は通常言い切れないので×となるとか。
受験界ではまことしやかにそのようなことが言われてきました。
確かにその様な問題は、平成20年年度前半までは出題されていたと思います。
ただ、近時はその辺りでは解答が出来ない問題が増加してきました。
また、審査基準に則り画一的に判断がなされる、産業財産権法であれば暗記た何となく解答が出来てしまう場合もあります。
他方、著作権や不正競争の場合は裁判で問題となるものであり、背景事情が異なれば自然と結論が変わるものが多いのです。
特に先年度の試験は、枝は正確に切れるのですが、条文のどこで言い切れるかと言うことが不明確な問題が多かったような気がしております。
さて、この場合はどうするか?
やはり趣旨から解いていくしかないのです。
特に著作・不正競争は短答マターですので、アドバンス等の受験教材に趣旨が明確に載っていません。
例えば、著作権の展示権と譲渡権の場合、展示権は複製物だけ、他方、譲渡権は原作品の場合の他、複製物も記載があります。
この点は暗記をすれば確かに足りる問題なのですが、何故その点が違うということを考えたことがあるでしょうか?
展示権の場合、美術の著作物等を広く貸し与えて、地方の方も含め文化の進展を図ろうと考えています。
ただこの場合、所有権者(そして展示権を有している者)が巡回美術展示会の為、原本(元本だから意味があります)を貸与した場合に著作権者(展示権者)かた権利行使を受けると、巡回展示会が開けず、文化の進展が図れないのです。
その様な観点から、展示権の場合は複製物のみが展示権の対象になり、原作品は対象外であるとの趣旨を理解していくと解答が出せるはずです。
短答試験は暗記の要素が高い。
そのため、暗記項目を授業で教えておけ足りるのかもしれませんが、人間の頭はそこまで蓄積が出来るものではないかと思います。
また合格後は趣旨を考えながら、書籍等をお読みになることをお勧め致します。
私はこの手の手法で多くの短答の枝を切り、当時のボーダーであり8割を楽に超えて合格を果たすことができました。
また、それこそが論文の勉強に繋がるものかと思います。
解答に窮した場合。
その考え方が頭にあれば何とか正解に導くことが可能かと思います。
必死に食らいついて、是非、合格を勝ち取って戴ければと思います。
弁理士 佐藤卓也
『解らなければ趣旨で切る』