ぼくはほんの少しの間だけ
いじめられたことがある
小学3年生のとき
ミニバスケットに入った
兄についていって入ったので
バスケットがやりたかったかどうかは
憶えていない
だが兄が辞めてから
上級生2人組に
「顔がきもちわるい」
と言われていじめられるようになった
母に泣きながらそう訴え
ミニバスケットは辞めた
そして大学生になって急に思い出すまで
ミニバスケットに入っていたことを
完全に記憶から消していた
そういえば
鏡もろくに見たこともない小学3年生の時に
「顔がきもちわるい」
と言われたことがきっかけで
人に見られることが怖くなった気がする
ミニバスケットを辞めることで
いじめにはあわなくなったし
その上級生2人組とは
学校ではすれ違うことくらいは
あったかもしれないけど
何かされるようなこともなかった
だけどその後
ずっと長い間
ぼくは人前に出るのが怖かった
いま思い出しただけでもとても悔しい
それに母にいじめられてるといった時
たぶん母は上級生2人の家に電話していた
「だけどうちの子はやられたと言っている」
そんなふうに話していた気がする
きっと母も
ものすごく悔しかったに違いない
小学生2人の
ほんの短い間の悪意が
ぼくの何十年間
そしてきっと母の何十年間にも
しっかりと傷を残した
ああいうズルい子どもは
いったい今
どんな大人になっているんだろう
よく
いじめた側は忘れてる
なんてことを聞くけど本当だろうか?
もしもぼくなら
人を傷つけたこと
親にいじめてないと嘘をついたこと
その罪悪感でとても苦しむと思う