若いライダーはそう言い残すとガレージを出て行った。
これまた若いエンジニアが悔しそうにマシンを見つめている。
どうも高速コーナーでのリヤサスの挙動がおかしいらしい。
奥から2人を見ていたたくぼんは心の中でつぶやく。
「若い、若い。まだまだだな。」
エンジニアのそばに歩み寄るたくぼん。
「あ!たくぼんさん。すいません・・・」とエンジニア
「気にするなと言っては嘘になる。なんとかマシンを仕上げて
予選を通過させよう。」
「はい。でもこんな古いマシンに合うリヤサスがないんですよ。
このマシンもノーマルを加工して使ってます。」
「そうか、まずはリンク関係を確認してみなさい。」
「はい、すぐに外します。」

「ほお、ワークスのようにベアリング化はしていないが、いい整備
をしてるな。これは・・テフロンコーティングしてあるのか!」
「わかっていただけましたか。少しでもリンクの動きが良くなれば
と思って。ベアリング化よりも安いですし、ガタも出ないです。
こまめに分解すればこちらのほうが良いかと思いました。」
「なるほど・・面白い。サスはどうだ?」
「動きも悪くありません。古いので汚れてますが・・・」
「いいモノを持って来たよ。ならべてみよう」
「た・・たくぼんさん!」
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「どうだ、これならヤツを予選通過させられるか?ん?」
「こんなリヤサス見た事ないです。どこから!」
「まあ、その話は後まわしだ。とにかくクリアランスを含めたチェ
ックをしよう。さ、取り付けてみなさい。」
「はい、わかりました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・うお!絶妙なクリアランスですよ。どこにも不具合
はありません。」
「そうか、うん・・本当だ・・締め付けトルクは大丈夫か?よし、作
動も良好だな・・リンクもOKだ」
「す、すごい・・1Gの状態でも、またがっただけでも違いがわかる」


後日若いライダーは
「これなら大丈夫、高速コーナーでのどこへ行くかわからないくらい
飛び跳ねる感じはなくなりました。しなやかです。挙動が安定して
いて、前とは全く違います。低速でもショックアブソーバーがうまく
効いていて、非常にライディングしやすいですよ!」
裏付けるように予選も無事通過した。本線では中位であったがこれ
からメキメキと頭角をあらわし、「チームたくぼん」が世界グランプリ
に参戦するのは間違いないであろう。
そういえば続きがあった
「たくぼんさん、そういえばあのサスはどこで手に入れたんですか?」
「いやーオイラたちの希望聞いてくれて今さらながら本数限定で作って
くれた会社があるのよ。オイラ予約したからすぐ手に入ったのさ!
値段は7980円だぜ!いやーオイラのお小遣いでなんとかなったな!
ワハハ!」
*サスペンションフィーリングは個人差があります。あくまでもたく
ぼんの主観です。ご注意下さい。
つづく