3台ピアノ公演、終演!
2022年10月1日、長野市芸術館主催公演『信州3男子ピアノ・バトルⅢ』に出演いたしました!(左から松橋朋潤氏、梨本、久保亮太氏)そもそもスタインウェイのモデルD(世界最高峰のフルコンサートグランドピアノ)を3台も所有していて、それを一度に使ってしまえて、さらにこうしたボクシングのリングのような設置をできる施設なんか、日本中みても皆無だと思うのですが、それに加えてこの演奏会は、3台ピアノ用の編曲も自分達で行う、というトンデモスーパー企画なのです。それがなんともう3回目。共演したのは松橋朋潤くんと久保亮太くん。僕と同じく、長野県出身かつ東京藝大を卒業した年の近い素晴らしい男性ピアニストたちです。過去2回ではノリノリな作品をたくさん演奏しましたが、今回はもう少しクラシックに寄せたプログラム。前半はカプースチンの連弾作品『シンフォニエッタ (1楽章)』の3台版アレンジで開幕。続く爆発的なサン=サーンスの『死の舞踏』と、それに続く静けさ全開の美しい作品ラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』。死の舞踏は、過去にリストのものを演奏したことがありますが、今回はサン=サーンス。死の舞踏コンプリートです笑そして今までになかったのが、このパヴァーヌのような静かな作品。3台もピアノがあれば爆音は簡単に出るのですが、3台あるがゆえに弱音であっても音の厚みや表現の深さを出すことができるんだなぁと自分達でも改めて感じた作品でした。続くリゲティの『ムジカ・リチェルカータ(No.3,6,7,8の抜粋)』やバルトークの『ルーマニア民族舞曲』といったハンガリーを代表する作品たち。これらを編曲担当しプログラムに組み込むことができたのは、ハンガリーで学んだ身としては大変意義深いものでした。また、リゲティはいわゆる現代音楽に分類される作品。この複雑なリズムの応酬&音列作曲(第1番:2音のみ、第2番:3音のみetc.)といった探求的(=Ricercare)な作品を取り上げることはある意味大きな冒険でもありましたが、このリズムゲームともいえるこの作風と3台版アレンジがうまいこと噛み合って、面白いものになったのではと思います。(客席視点。ステージと客席がフラットになっているため音の振動や臨場感が伝わりやすいそうです)後半は年末感のある曲目。シュトラウスⅡの『こうもり序曲』とチャイコフスキーの『くるみ割り人形組曲』でした。コミカルで軽やかなお話のために作られたこのシュトラウスの序曲ではウィンナーワルツと、お菓子の妖精たちによるかわいらしくもロシアンな重々しさを兼ね備えたチャイコフスキーのワルツ。といった対比としても面白いものがあったり、死の舞踏では12回、こうもりでは6回、鐘の音が鳴らされるシーンがあったりと、狙った部分も結果的にそうなった部分も含めて面白いプログラムを組めたなぁなんて思っております。なーんて語りすぎると良くないんですけどね笑そしてこの演奏会のもう一つの主役、照明さん。作品に合わせて様々な演出をしてくださいました!演奏していると明るいか暗いかくらいしか認識しきれないのが残念極まりないのです!!!ということで、お越しいただきました皆様、ありがとうございました!またいつの日かお会いできますように!!!