『学校で合唱コンクールがあるので、指揮者をやりたいんです!』

そう中学生のKさんに言われたのは

夏休み明けのレッスンでのこと。


『でも指揮の希望者が多くて、今度、オーディションで決めることになったので、指揮を教えて下さい!』

Kさんは彼女が幼稚園の頃から私がレッスンをしている生徒さん。
小さな頃からヴァイオリンの練習を欠かすことのない
頑張り屋さんです。

私に相談してくれたのが嬉しくて
早速、指揮のレッスンが始まりました。

指揮といえば、大学の時に受けた指揮法
という授業を思い出します。

正直、指揮なんぞにまったく興味はありませんでしたが
4年生の時の必須科目で、仕方なく取っていた授業でした。

しかも、初めての授業があまりにも強烈で・・・

現役の指揮者の先生の授業だったのですが
指揮者の筋肉について、指揮者の筋肉がいかに大事か
という内容の話を熱く、永遠と聞かされたのでした。

始めから興味がない授業でそんなマニアックな話をされても・・・

と、ますます興味が遠のくばかり

最後の試験ではピアノ奏者を連れてクラスメイトの前で
自ら指揮をするというもの。

あの授業は辛かったな〜
なんて事を思い出していました。


合唱コンクールでは
アンジェラ・アキさんの「手紙~拝啓十五の君へ~」
を歌うとのこと

それではCDに合わせて指揮をしてみて
と始まった訳ですが

Kさんが指揮をする姿を見て
なぬ ⁉ と思った私

指揮をしている腕がぐらんぐらんで、手もひらひらとしていて
どこが小節の1拍目なのか分かりにくいのです。

すかさず
「指揮者の筋肉っていうのがあってね」

「大学生の時に指揮法っていう授業があったんだけど
その先生の話によると・・・」

と、昔受けた授業の先生の言葉を思い出しながら
腕のどの筋肉を使うのかクドクド説明したのでした。


イヤイヤだった指揮法の授業が役に立った嬉しさと
腕の筋肉について熱く語った自分がおかしくて(笑)


あの時お世話になった先生、今どうしていらっしゃるかなぁ。

その後、Kさんは無事オーディションに合格し
合唱コンクールの指揮者に選ばれました!

めでたし。めでたし。