アクション | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。

最近の脳科学で、人間が何か行動を起こすとき、感情から行動に移行するのではなく、行動が感情を誘発するのだということがわかって来ました。

 

例えばペットボトルのお茶を飲もうとするとき、頭の中で「ああ、喉が乾いたから水を飲もう」と思ってペットボトルに手を伸ばすのではなく、無意識にペットボトルに手を伸ばしてから「ああ、喉が乾いた」と感じる、というのが正しい。そしてここからが驚きなのですが「ペットボトルを掴む」という行動は脳が行動の8秒前に命令しているというのです。つまり、まず喉自体が「喉が乾いている」という信号を脳に送り、脳は手に「ペットボトルを掴んで水を摂取しろ」と命令し、人はそれを無意識に行うというわけです。

 

演技をするとき、台本には怒れ、泣け、笑えという指示が書いてあります。俳優は怒ろう、泣こう、笑おうと自分の心中から感情を生み出して演技しようとします。つまり感情から行動へ移行させようとするのです。しかし脳科学的にはこれは間違いで、いきなり怒る、いきなり泣く、いきなり泣く、そして感情が自然に生まれる。生理的にはこれが正しいのです。

 

では、「8秒前の脳からの命令」を演技に当てはめると、実はこれが「台本」なのです。