ブルース | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。

 

だいぶ前の「探偵ナイトスクープ」

という関西ローカルの番組で、

あるアマチュアバンドから、

「いろんなジャンルの音楽をやってきたが、

どれもものにならない、なんとかしてほしい」

という依頼が来ました。

 

実際、会って聞いてみると、

そのときはブルースのコピーをやっていたのですが、

確かにどうしようもない感じでした。

 

とりあえず街に出て歩いている人に聞いてもらい、

感想を聞くのですが惨憺たる結果でした。

そのときたまたま黒人の2人組が通りかかったので、

彼らにも聞いてもらうことに。

聞き終わったあと黒人は言いました。

「これはブルースじゃない」と。

 

ブルースコードで演奏すればブルースになるわけじゃない。

ブルースはもともと黒人の日常の、

辛いことや苦しいことを歌ったものだ。

君たちの歌には魂がないと。

 

アマチュアバンドのメンバーは、

時間をかけて自分たちの日常の苦しさや辛さを綴った、

オリジナルの曲を作ることにしました。

そして後日もう一度あのときの黒人に聞いてもらいました。

聞き終わって、黒人はにやりと笑って言いました。

「うん、だいぶブルースになってきた」

 

 

▶︎表参道