だいぶ前の「探偵ナイトスクープ」
という関西ローカルの番組で、
あるアマチュアバンドから、
「いろんなジャンルの音楽をやってきたが、
どれもものにならない、なんとかしてほしい」
という依頼が来ました。
実際、会って聞いてみると、
そのときはブルースのコピーをやっていたのですが、
確かにどうしようもない感じでした。
とりあえず街に出て歩いている人に聞いてもらい、
感想を聞くのですが惨憺たる結果でした。
そのときたまたま黒人の2人組が通りかかったので、
彼らにも聞いてもらうことに。
聞き終わったあと黒人は言いました。
「これはブルースじゃない」と。
ブルースコードで演奏すればブルースになるわけじゃない。
ブルースはもともと黒人の日常の、
辛いことや苦しいことを歌ったものだ。
君たちの歌には魂がないと。
アマチュアバンドのメンバーは、
時間をかけて自分たちの日常の苦しさや辛さを綴った、
オリジナルの曲を作ることにしました。
そして後日もう一度あのときの黒人に聞いてもらいました。
聞き終わって、黒人はにやりと笑って言いました。
「うん、だいぶブルースになってきた」
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