囚人と看守 | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。


西暦1971年、

アメリカ、スタンフォード大学心理学部で、

ある有名な実験が行われました。


新聞広告などで集めた普通の大学生21人のうち、

11人を看守役に、10人を受刑者役にグループ分けし、

それぞれの役割を、

実際の刑務所に近い施設を作って演じさせたのです。


すると、看守役は誰かに支持されたわけでもないのに、

次第に尊大な態度を示すようになり、

囚人役に罰則を与え始めるようになったのです。

そればかりかやがて囚人役に対し、

禁止されていた暴力を振るうように。

あまりの危険な状況に実験は途中で中止されました。


実験の結果、

強い権力を与えられた人間と力を持たない人間が、

狭い空間で常に一緒にいると、

次第に理性の歯止めが利かなくなり暴走してしまう。

しかも、元々の性格とは関係なく、

役割を与えられただけで、

そのような状態に陥ってしまうことが証明されたのです。


実験だとわかっていても、ゲームだとわかっていても、

たとえ演技だとわかっていても人間は錯覚するのです。

演技のヒントがここにあると思います。



▶︎近景