賢い | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

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舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。


頭がよくて利口なこと、

才能が優れていることを「賢い」と言います。


しかし、昔はこの言葉は、

ちょっと違う意味で使われていました。

「日本書記」や「万葉集」などに、

すでにこの言葉は出てきますが、

それは頭がよくて利口であるという意味ではありません。


天雲をほろに踏みあだし鳴る神も

今日にまさりてかしこけめやも


万葉集の中にあるこの歌の意味は、

天雲をばらばらに踏み砕いて鳴る雷でも、

今日以上に恐れ多いことがありましょうか、ですが、

その「かしこけ」は実は恐ろしいことを意味します。

つまり「賢い」という言葉は、

もともとは恐るべき霊力、威力のあるさまを表したもので、

それに対して人々は畏まった(かしこまった)のです。

そこから「かしこい」という言葉が生まれ、

のちに転じて、頭がよいこと、

能力にすぐれていることを意味するようになったのです。


賢いことは恐いこと、確かにそうかも知れません。



▶︎近景