誕生から1億5000万年ものあいだ、
私たちの祖先はネズミ程度の大きさでした。
しかしその間にひとつの大きな変化がありました。
それが今日の成功への鍵とも言われる繁殖術の改革、
つまり胎盤を持つことだったのです。
胎盤は今の私たちが赤ちゃんを産むのに、
欠かすことの出来ない組織です。
胎盤と卵にはどんな違いがあるのでしょうか。
卵の場合、子供は殻の中に隔離された状態です。
本来、母親と子供は別々の生き物だからです。
その壁を取り払ってくれるのが胎盤です。
へその緒の中を通っているのは赤ちゃんの血管です。
そのへその緒の先にある胎盤で
母親から酸素や栄養を受け取ります。
しかし別々の生き物である母親と、
赤ちゃんの血液が直接混じりあうわけにはいきません。
しかし胎盤の内部に巧みな仕組みが備わっているのです。
それが「じゅう毛」と呼ばれる組織です。
その中には赤ちゃんの血管が張り巡らされています。
そこに母親の血液が降り注ぎ、
必要な成分だけがしみ通るようになっているのです。
たとえ血液型が違っても、
母親と赤ちゃんが一緒に生きることが出来る、
それが胎盤の働きなのです。
この仕組みによって母と子はいつも一緒です。
これこそが恐竜時代を生き抜く秘策でした。
お腹の中にいる間、
子供は自分で食べ物を探す必要がありません。
食べ物の少ない夜の世界ではこの方法が有利だったのです。
つまり恐竜の存在が、
ほ乳類の胎盤という繁殖革命をうながしたのです。