心理学と演技 | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。


では、人間のこういう意識の仕組みを、

どうやって演技に反映させるのか。


俳優は人間のこういう意識の仕組みを、

まずは知っているだけで良いと思うのです。

たとえば、自分の将来に不安を抱えている人物がいたとします。

結果、彼はその不安を紛らわすために、

趣味や、遊びや、恋愛に逃避したりしています。


このとき俳優は不安を感じないように、

思いっきり趣味や、遊びや、恋愛に没頭すれば良いのです。

彼の無意識の中に「怒り」があることを引き出してやるのは、

その俳優自身ではなく、実は相手役です。

相手役が、彼の「怒り」を刺激し、

誘発し、さらけ出させるのです。

つまり、お互いが相手の無意識を攻撃(刺激)する、

現時点ではこんなふうに考えています。


演劇を英語で言うと「play」です。

僕はずっと以前からどうせ遊ぶなら、

チームプレイをやりたいと思って来ました。

しかし、チームプレイというのはみんなで仲良くするとか、

連携して物語を紡いでいくということではありません。


人間の無意識に迫っていき、

さらにそれを乗り越えていくのがドラマであるならば、

相手の無意識の中に踏み込み攻撃(刺激)することが演技、

それこそがチームプレイだと思うのです。

出演者全員がこの仕組みを把握し、実行していけば、

舞台はもっともっと刺激的で深いものになると思うのです。



▶︎みりん