フロイトは「無意識の発見者」と呼ばれます。
古代人は、人が心の病気になったとき、
その原因は無意識の中にあるのではなく、
むしろ原因はその人の外にあると考えました。
たとえば誰かに呪われているとか、
掟を破ったために神の祟りを受けているのだとか、
何かのせいでその人の魂が外に彷徨い出て、
迷子になってしまったからだと考えました。
だからその治療法は、
呪いをはらったり、神の怒りをなだめたり、
迷子になった魂を探し出して、
元の場所におさめたりすることでした。
そして、その治療をおこなったのは呪術師でした。
中世に入るとヨーロッパでは、
キリスト教の考え方が社会を支配し、
心の病は悪魔の仕業だと考えられるようになりました。
したがってその治療は、
聖職者(エクソシスト)がおこなったのです。
フロイトの発見の重要な点は、
心の病の原因が無意識の中にあると考えたことです。
体は健康なのに意欲が失せて何も手につかなくなるとか、
1日に何十回も手を洗わないと落ち着かないとか、
体は健康なのにもかかわらずさまざまな精神的な症状が現れる、
それらはすべて人の心の中の「無意識」の中にあるのです。