感情だけの演技はわずらわしい。
技の演技はよほどの技でなければ見ていられない。
しかし相当に見事な演技でも感心はするが感動しない。
僕は俳優の演技の中に「意志」が感じ取れれば感動します。
新渡戸稲造が著した「武士道」の中にこんな一節があります。
「武士道は知識を重んじるものではない。
重んずるのは行動である。
したがって知識はそれ自体が目的とはならず、
あくまで知恵を得るための手段でなければならなかった。
単に知識だけをもつ者は、
求めに応じて詩歌や格言を作り出す、
「便利な機械」としか見られなかったのだ」
人が行動を起こそうとするときに必要なもの、
それは「感情」や「技」ではなく「意志」です。
だから意志のある演技に僕は感動するのです。