日本独特の美意識に「あはれ」という言葉があります。
奈良時代に、もの哀しい、気の毒なさま、
という意味で使われました。
これはきっと、地震や台風などの、
災害の多い日本の風土からくる日本人にしかわからない、
価値観なのだと思います。
そしてこの言葉が、
公家文化から武家文化の鎌倉時代に移って行くと、
「あっぱれ」という言葉に変化します。
「あっぱれ討ち死にした」などと使われるようになるのです。
現在ではこの「あっぱれ」という言葉は、
「天晴れ」と書きますが、実はこれは当字で、
本来の意味は裏側に「哀しい」があるのです。
小説家の池波正太郎氏は、
「1日に一度は「死」について考えなさい」と言いました。
「死」を考えることで「生」を意識する。
やはり日本は侍文化の国なのだなと思うのです。