エアハイウェイのユークラ
テレグラムステーションに寄ったリチャードとオレ
オレが海を見て感動している隙に
リチャードが自分の車に向かってダッシュしていた。。。
それを追うオレ
ウォオオオオオオオ!!!
待て!
ウェイト! ウェイト!!!
オレは必死にリチャードの車に向かい走っていた
こんなところに置いてかれたら マジで命に関わる
リチャードは車のエンジンを入れている
何とか追いつき 息を切らしながらドアを叩くオレ
リチャードはゆっくりとドアロックを外した
すぐさま車内でオレは聞いた
「オレを置いていこうとしたのか!」
リチャード
「ただ走ってみただけだ 心配ないよ」
置いていくつもりはなかったらしい
そして車は走りだす
息を整えながら 冷静に思い出す
そういえばオレが必死な形相で車に向かって来ているのに
リチャードの表情は驚くことなく静観していた
これはオレが置いてかれまいとしていたことを 知っていると いうことだ
つまりワザと置いて行くマネをしたのではないか?
これは笑い事で済まされることではない
1番の問題はヤツの脳みその中にオレを置き去りにするという発想があることだ
そう この先またやられる可能性が出てきたということだ
オレのリチャードに対する信用は
あっけなく 崩れてしまった
しばらく進むと 料金所のようなものが現れた
小屋から 農夫のようなオッサン が出てきて
色々説明と質問をしだした
どうもここは西オーストラリアと南オーストラリアの境
そう 州境 だったのだ
看板には
『病気や害虫を持ち込んだら
最高5000ドルの罰金が課せられます
果物、野菜、植物、花、土、種子、蜂蜜、動物など
深刻しなければなりません』 と書いてある
さすが環境大国 自国内の移動でもこんなに厳しいんだな
オレは貴重な食料であるミックスナッツを持っていたが
バックの中までは見られなかった
むしろリチャードの腐りかけの野菜が後部座席に
山のようにあるのだが
検査官のおやじにヤルキがないのか?
大して権限がないのか?
簡単に通してくれた
近くに 張りぼてボロ カンガルー のモニュメントと
別の検問所でトレーラーの検閲が行われていた
数人がかりで調べているし
これだけ待っている状況なので
ここの検閲所はこっち(トレーラー)がメインのようだ
SAはサウスオーストラリア州
WAはウエスタンオーストラリア州 のこと
↑
ナラボー平原はラテン語で木の生えないという意味
エアハイウェイは
白人最初の開拓者(横断者)エドワード・ジョン・エアの名前からつけられた
そしてその時 オレにとって ショッキングなことが起こった
ボーダーで珍しく他の観光客と遭遇し
観光客の老夫婦にリチャードが話しかけている
何の話か耳を傾けると
オレとロンゲ野郎の話をしているではないか!
リチャード 「今回の旅で面白い話がある
クレイジーな日本人(ロンゲのこと)と途中まで来たのだが
ここにいる日本人(オレのこと)をノースマンで拾ったんだ
するとその日の晩に
2人で目論んで他の車を捕まえて逃げ出したんだ!
そして翌日車を走らせていると
彼が独りでオレに向かって手を振っている」
間抜け顔の演技でオレのマネをし
両手を挙げてジャンプするリチャード
「ヘルプ!ヘルプ!!!」
ちなみにオレはジャンプしながらヘルプヘルプ言った覚えはない
「どうもクレイジー日本人に裏切られて置いてかれたらしい
それからまたこの日本人の世話をすることになったのさ!
ワハハ!」
話し相手の老夫婦もその話を聞きゲラゲラ笑っている
この野郎オレが英語話せないのわかってて
調子こきやがって!
正直 むかついた
オレはイライラしながら 次のスポットに進むと
今度のルックアウトもスゴかった
ここでキャンプしてもいいなぁって気もしたが
スゴく嫌な点が、
それは辺り一面 蠅 蠅 ハエ!
以前東北ボランティアをしていた被災後最初の夏を思い出した
瓦礫の汚泥と腐敗物を餌に蠅が大量発生していた
蠅が鼻や耳の穴に入ってめちゃくちゃ不快だった
そう言えば上海で出会ったヨウスケくんが蠅がウザいと言ってたっけ?
記念にセルフ撮影するも 蠅が顔に
もう我慢ならん!
すぐに退散した
そしてそのあとのガソリンスタンドで 奇遇 が起こった
オレはリチャードがガソリンを入れるのを待っていると
「ニイさん!ニイさん!」
聞き覚えのある日本語が聞こえてきた
なんとロンゲ野郎が追いついてきたのだ
今度はデカいオフロード車の助手席に乗っている
「またリチャードの車に乗ったんすね」
笑いながら話すロンゲ野郎
それに対しオレ「うん そうだね」
ロンゲ
「あの後のヒッチハイク結構苦労したんですよ♪
でもこの車速いから ボクらの方が先行っちゃいますね!
ニイさんも頑張って下さいね ではお先に失礼します♪」
オレ「ああ」
・・・・・・、
んおぉぉぉ~ うぜぇ~
1本道だから追っ付いてくるのは必然なのだが
まさか再開するとは。。。
リチャードは気づいていなかった
オレは笑いの種が増えると思い彼には だまっておいた
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このまま一生抜けられないんじゃないかと
錯覚をおこしてしまう
リチャードと 愛を育む しかないのか?
その日も日が暮れ
ロードサイドでテントを張り
早く人里に行きたいなぁと思い
プラネタリウム級な星空を眺めながら
眠りに就いたのであった
次回 やっと新しい世界へ抜けられる?!
オーストラリア横断の長い長い道のりは
つづく!!!