正統派ハードロックでありながらクラシカル・テイスト漂うサウンドが魅力 /ラグ・イ・リッゲン | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

RAG I RYGGENは北欧スウェーデンで結成されたVo兼フルート、Gx2、Bs、Kb、Dsから成る六人編成のバンドで、バンド名がスウェーデン語表記なるが故に、その意味も日本語発音も判らないでいるが、これから紹介するアルバムは、彼らが75年に自主制作盤として唯一残したプレス数の限られる激レア盤。それが故に自身は2000年代になって初発CDが流通し始めると同時に購入したが、近年アナログ盤もリリースされた筈。

 

その内容はバンド形態が物語る様に陰影に富んだブリティッシュ・ハードロックに近いもので、ツイン・Gとオルガンが全編に渡って冴え渡るもの。特にハモンド・オルガンから放たれるクラシカル・テイストに富んだフレーズや、Gによるエッジを効かせたバッキング然り、的を得たブルージー且つメロディアスなGソロ然り、これぞ正に正統派ハードロックといった処。オルガンは曲に応じてシンセに置き換わるもののそのアレンジは秀逸で、ドラマティックに盛り上がる曲に限れば若干プログレ要素まで醸す処となっているが、ハードロック・リスナーの方だけを問わず、充分プログレ・ファンの期待にも応えてくれる筈。

全体的には疾走感に富んだ曲が多くを占めるが、メリハリの効いたレンジの広い録音はクリアー且つ解像度も高く、重量感に富んだリズム隊におけるボトムを効かせた重心の低いハードロック然とした演奏は◎。それにオルガンや二本のGが重なって進行する音に隙間の無い楽曲の数々は、とにかくヘビィ且つ重厚。曲によってはシンフォ系ハードロックと言えなくもないが、このバンドの音楽性はシャウトを余り得意としないVoも含めて、同じ75年にデビューした沖縄出身のバンド紫(ムラサキ)に近く、両者を聴き比べて楽しむのも一興かもしれない、、、、もちろん紫はバンド名が語る様にメンバー全員が間違いなくパープル・フォローワーと言えるが、此方は北欧出身バンドなるが故に、よりクラシカル・テイストに富んだ独自性の感じられるサウンドとなっている。

 

        75年アルバム

 

このアルバムは自身が初発CDを購入して既に15年以上経っているのですが、その後CDもアナログ盤も再発されたと聞くに及んでいるので、通販なら今でも容易く入手出来ると思われます。日本では限りなく無名に近いバンドという事もあって、ここで初めてバンド名を耳にされた方も多いと思われるのですが、是非一度YOUチューブでサウンドを確認してみて下さい。ハードロック・リスナーの方だけを問わずプログレハード・ファンの方々にも文句なくお薦め出来る一枚です。きっと期待に応えてくれる筈です。