FANTASYはアメリカで結成された10代の女性Vo/リディア・ジャニーン・ミラーを擁したバンドで、それにG、Bs、Kb、Dsを加えた五人編成のバンド。70年に制作されたアルバムを唯一とするが、70年代の終わり頃にLPとして再発されてはいるものの、CDとして流通し始めたのは2000年代の初頭からで、現在に至るまでアナログ盤は中々入手し難かった一枚。リディアは若くして故人となったらしいが、ジミヘンなどと同様アルコールや薬物依存によるものかもしれない?
その内容は圧倒的声量で迫るパワフルなリディアのヴォーカルを売りとしたもので、声が良く延びるミュージカル・スターの如き表現力を伴う歌声には、惹きこまれずにはいられない。特に10分にも及ぶドラマティックに展開される長尺ナンバーはリディアの独壇場で最大の聴きどころ。
Voと並んで活躍が目覚しいのがラウドなファズ音を奏でるGで、短いパッセイジではあるが全ての楽曲において本領発揮。メンバーの中にあってはGと並んでリズム・セクションが一番ハ-ドロック・テイストを醸しているが、ハードロック然としたパワフルな叩きっぷりを特長としたDsや、良く弾むランニングBsは全ての楽曲に貢献している。もちろん控え目ではあるが伴奏として重厚さを漂わせるオルガンも◎
全体的にそのサウンドはR&Bをベースにしながら、クラシカル~プログレ・テイストまで感じさせてくれるものとなっているが、結果的にはアメリカのバンドとは思えない、独自の世界観を持った音楽的ルーツ不明のバンドといった処。
このアルバムが今でも容易く入手可能か否かは、リサーチまでには及んでいないので判らないでいるのですが、ハードロック・リスナーの方々だけを問わず、サイケハード~プログレハード・ファンの方々までを対象として充分お薦め出来るような気がしました。ここで初めてバンド名を耳にされた方は是非一度YOUチューブを検索してみて下さい、この手のバンドの音源は間違いなく拾えると思えますので、、、