北欧で生まれた特異性のあるサウンドが魅力のハードロック・トリオ /ハーディ・ガーディ | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

HURDY GURDYはデンマークで結成されたG、Bs、Dsからなるトリオ編成のバンドで、このバンドが唯一残したものが71年リリースのこのアルバム。北欧系のバンドは今まで総じて入手出来難いアルバムが多かったが、近年アナログ盤の再発によってCDも簡単に入手出来る様になった。自身はリアルタイムではなかったもののLPは既に所有しており、数十年前初発CDを手にれる事が出来たが、今では容易く入手可能な筈。ただ当時における中古LPは店頭に限れば、ほとんどお眼にかかった事のない代物。

そのアルバム内容はG奏者が放つファズ音やナチュラル・ディストーション音から、サイケを少し引き摺ったサウンドという事は窺えるが、Gフレーズが醸す少しオリエンタル的でスペイシーにも感じられる楽曲や、熱唱しないクール過ぎるVoスタイルは、この当時としてはかなり独創的なサウンドと言えるもの。ただGフレーズの根底にあるものは、明らかに英国のバンドに影響を受けたと思えるブリティッシュ・ブルース。

トリオ編成といった事から、ミドルテンポの曲に音の隙間があるのが良い意味でグルーヴ感を感じる部分で、それが妙に心地よく感じられるが、単音を奏でるだけのリフに厚みが感じられないのが少し難点。それと並んで歌メロも含め、凝った楽曲の数々にキャッチーさが見受けられないのが非常に残念な部分。ただしこれがバンドにおける独自性であり個性と捉えれば、それは間違いなく好みの問題と言えようが、、、

リズム・セクションは確実にサウンドに厚みを加えており、Dsはジャズ畑出身者と見受けられるもので、バンドにあってはその技量が特に目立つ手数の多い技巧派、Bsは特にこれといった特長はないものの、硬く締まった重い音はバンド・アンサンブルとしてのボトムをしっかり支えている。曲展開に関して言えば、ある意味ジミヘンと共通する部分もあるが、あの当時独創性や先進性に関しては、J・ベック等と並んでG奏者における頂点に位置していた、ジミヘンの技量とは流石に比べられないといった処か。

 

         71年アルバム 

 

チープ過ぎるカバーアートが中身を台無しにしていると思えたのですが、このアルバムは音量を絞って聴けば楽曲の良さも消えてしまいそうで、比較的音量を上げて楽しむ事がベストである様な気がします。同じトリオ編成のG・F・Rとまでは行かないまでも、インスト重視であればそのサウンドの特異性から間違いなく楽しめると思えますが、個人的にはB級の良さが判るハードロック・リスナーの方々には文句なくお薦め出来ると思えた一枚です。