女性Voのアンニュイな歌唱法が魅力のアシッド臭漂う独自性に富んだサイケ・サウンド /アックス | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

AXEはイギリスで結成された女性Vo/ヴィヴィアン・ジョーンズを擁したGx2、Bs、Dsの五人編成のバンドで、これから紹介するアルバムは70年に録音された彼らが唯一残したもの。自身はレトロ感漂う絵画チックなカバーアートに惹かれ、事前情報も得られないまま95年にリリースされた「ライブ&スタジオ」とタイトルの付いた初発CDを購入したが、そのタイトル名が語る様に69年におけるライブ録音と70年のスタジオ録音が1CDとしてセットになったアルバム。後にアックス・ミュージックといったバンド名で、全くカバーアートの異なる自主制作盤がリリースされていた事が判ったが、恐らく今となっては天井知らずの取引価格が予想される激レア盤と呼べるもの。近年同好仲間の情報で「クリスタル・ライン」といったタイトル名でカバーアートの全く異なるアナログ盤が再発されたらしいが、ライブ・トラックまでは含まれていないらしい、、、

 

女性Voにおける裏声気味のアンニュイとも映る歌唱スタイルが当時におけるカオス的なサイケ・サウンドを間違いなく蘇らせてくれているが、この歌唱スタイルがサイケ愛聴家にはヘビィなファズ音と並んで堪らなく映るもので癒される事請け合い。

R&Bをベースにしたそのサウンドは、若干ジャズ・テイストまで醸す独自性を感じるものとなっているが、それに暴力的なまでの荒々しいファズ音が絡むとくれば、とても一筋縄ではいかないサウンドといった処。もちろんファズGに限らず艶のあるG音による的を得たソロも間奏にふんだんに取り込まれているが、全体的にはアコギによるフォーキーな部分と、ファズGのさじ加減が抜群とも言えるアシッド臭漂うサウンドで、若干オリエンタル臭を感じるシタールの響きやパーカッション、それにGによる浮遊感に富んだアレンジもサイケハード~ヘビサイケとしては◎。とにかくバラエティーに富んだ楽曲のクオリティーが高いのが値打ちで、ファズGとヴィヴィアンのドリーミーな歌声を聴くためにあるアルバムと言った事だけは確か!

 

          69年~70年

 

このアルバムは2000年代になってCDが再発されていると聞き及んでいる事から、今でも容易く入手出来ると思えるのですが? ただカバーアートの異なるアナログ盤の状況までは判らないでいます。ハードロック・リスナーの方々は言うまでもなく、サイケハード・ファンの方々には特にお薦め出来る一枚と眼に映りました。