サックス奏者やGの活躍が光るブルースをベースにしたサイケ・ハード /オーティス・ウェイグッド | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

OTIS WAYGOODはVo兼G兼サックス及びBsの二人を中心にして、G、Kb兼G、Dsの三人が加わった南アフリカで結成された五人編成のバンドで、実際にはオーティス・ウェイグッドなる人物がメンバーとして顔を覗かせている訳でもないし、1stアルバムではオーティス・ウェイグッド・ブルース・バンドと呼ばれていた事も判っているが、実際には70年代の何時頃まで活動していたかは情報が乏しくほぼ不明のバンド。南アフリカ出身のハードロック・バンドと言えば非常に数は少ないものの、比較的知名度の高い所では、ほぼ同時期にデビューしたフリーダムズ・チルドレン辺りになるが、これから紹介するアルバムは、実際には2ndも3rdも同じ71年にリリースされているので、どちらが2ndなのか3rdなのか判らない状況(恐らく3rdアルバム)。

その内容はVo兼サックス奏者がGとユニゾンで分厚いリフを奏でたり、時には主旋律やソロを奏でたりと、活躍が目覚しいものとなっている。もちろんこれがバンドにおける独自性といった事になるが、Gもそれに負けじとG本来のナチュラル音でジャジーに迫ったり、時にはファズ音でブルージーなソロを連発させてリスナーの期待に応えてくれている。Voはワイルドな濁声を特長として一貫して吼えまくる様に映るものの、歌メロはよく練られており、それを個性とすれば哀愁を帯びた味わい深いバンド・サウンドには充分マッチしているし、完成度の高さだけを捉えれば間違いなくA級。

その中にあってもBsラインのはっきりした音を奏でる低重心のよく歌うBsは特に輝いて映るが、間違いなく安定したビートやサウンドに一役買ったもの。全体的には南アフリカといった国民性や音楽性がそうさせるのか、ブルースに根差されながらもジャズ・テイスト満載ともいえる、オリジナリティーに富んだ楽曲の数々は飽きを来させず、つい忘れた頃に取り出して聴いてしまう。全体的にはブルース・テイストを残しつつ、サイケの薫りも若干残した、ハードロックのカテゴリーには収まり難い、独自性のあるサイケ・ハードといった処。

 

          71年アルバム

 

自身は二枚共2000年代に流通し始めた初発CD?を購入したのですが、今となっては2イン1といったCDも発売されていると聞き及んでいます。それが確かなら今でも容易く入手出来ると思えるのですが、2ndアルバムはよりブルース臭やアングラ臭が強く、個人的には捨て曲が多く楽曲のクォリティーが少し落ちると眼に映った事から避けて通りました。決してハード且つガッツィーなサウンドではないのですが、この不思議なサウンドは一度聴けば病み付きになる様な気がします。日本ではほぼ無名に近いバンドといった事から、ここで初めてバンド名を耳にされた方も多いと思われるのですが、是非一度YOUチューブでサウンドを確認してみて下さい。