イタリアのジミヘンと異名をとったG奏者を中心としたヘビィサイケがこれ! /グリーメン | ハードロックは我が人生そのもの

ハードロックは我が人生そのもの

70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

GLEEMENはVo兼Gのイタリアのジミヘンと呼ばれたバンビ・フォッサーティを中心とし、それにBs、kb、Dsが加わったイタリアで結成された四人編成のバンドで、バンビは後に結成したガリバルディ(既に紹介済)での活躍が特に知られているが、アルベルト・ラディウスなどと同様、イタリアン・ハードロック・シーンだけに限らず知名度の高いギタリスト。彼らが残したアルバムは70年に制作されたものを唯一とするが、著名デザイナーによって描かれた、コミカルタッチのユニーク過ぎるカバーアートの中身をこれから紹介。

70年録音といった時代を反映してか、そのサウンドは概ねオルガンを背後に従えながらGが弾き倒すサイケ・ハードあるいはヘビィ・サイケといったもので、ジミヘンにインスパイアされながらも彼の独自性とも言える、変態チック且つ屈折した感のあるGフレーズやGリフが存分に聴ける内容となっている。それが故に楽曲自体はR&Bをベースにしたもので、クラシックとは無縁とも思える、若干ポップ・テイストを漂わせたファンキーな楽曲が並んでいるが、やはりそこは陽気なイタリアンといった処で、同じユーロ圏内にあっても若干ダークなジャーマン・ロックとは随分異なるもの。

歌メロは比較的キャッチーではあるものの、バンビ自身のイタリア語による歌唱法がカンツォーネ的で、R&Bをベースにしたサウンドにしては多少違和感が残るが、ハードロック黎明期に当たる当時のサイケとして聴けば他のバンドも似たり寄ったりで、それほど気にならない筈。その兼任Voの弱さもバンドの独自性と思って聴けば逆にオリジナル度は高いもの。

70年と言えばどうしても世界的ヒットとなったD・パープルの「インロック」やサバスの1stアルバム、あるいはGFRの2ndアルバムと比べて聴いてしまうが、ここはやはりハードロック・アルバムとして聴くより、カオス的なサイケデリック・サウンドを楽しむ為のアルバムとして聴く事が肝心といった処かも。

個人的にはこういった独自性に富んだサイケ・サウンドは大好きな部類に入るが、楽曲もバラエティーに富んだもので、捨て曲もなく全編通して当時における味わい深いサイケ・ロックを楽しめるのが最大の魅力で値打ち。

 

        70年アルバム

 

自身は90年代の終わり頃から流通し始めた初発CDを購入して聴いているのですが、そのオリジナルLPはレコード・コレクターの方々でも中々手が出せない、取引価格が数万円前後といった激レア盤となっています。2000年代なって初めてアナログ盤もCDと同様再発されたと思うのですが、今となっては品薄で中々入手し難い状況にあるのかもしれません、、、クラシックからの影響を受けたプログレ系バンドの多いイタリアン・ロックにあっては、珍しいサイケ・サウンドが味わえるアルバムなのですが、上に挙げた理由からハードロック・リスナーの方々にも充分お薦め出来るし、ヘビィサイケ・ファンの方々には文句なくお薦め出来る一枚と眼に映りました。どちらにしても店頭や通販で見つけたら、新中古を問わず迷わず購入される事をお勧めします。