Gが奏でるヘビィーなファズ音や歪んだオルガン音がヘビィ・サイケを醸す /プリヴィレッジ | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

PRIVILEGEはアメリカで結成されたVo兼G、Vo兼Kb、Bs、Dsの四人編成のバンドで、69年に制作されたアルバムを唯一とするが、自身は2000年代になってCD化される事によって、初めてバンド名とアルバムの存在を知り得た一人で、恐らくオリジナルLPは激レア盤となる日本ではほぼ無名に近いバンド。

その内容はアシッド調のカバーアートが物語る様に、ハードロック黎明期に当たるサイケ~アートロックに近いサイケデリアスなサウンドで、G奏者が楽曲全編に渡って歪み切ったヘビィなファズ音でリフや的を得たソロを奏でたりする事や、よく動き回るBsラインを特長とした重低音Bsのせいか、R&Bをベースにした若干初期G・F・Rのサウンドに近く感じられるもの。もちろん曲の背後で常に鳴り響く歪気味のオルガン音や、Voハーモニーやコーラス・ワークによって、そのヘビィ・サウンドはG・F・Rと同等かより分厚く感じられるものとなっているが。

もちろんキャッチーな歌メロをソウルフルに歌いこなすVoも、M・ファーナー以上にワイルド且つガッツィーで耳を奪われるし、結果的に3分前後の曲ばかり並ぶ短い曲分数が物語る様に、各奏者におけるインプロ部分が少ないのが残念といった事になるのかもしれないが、単純に当時のヘビィー・サイケが味わえるアルバムとして聴くのであれば、間違いなく満足感に浸れる事の出来る一枚。ただ収録全10曲(約37分)の中には若干退屈と感じる曲も含まれるし、全体的に完成度の高い楽曲ばかりで構成された当時のG・F・Rと比べれば、味気なく映るのが一番残念と感じられる部分。もちろんB級なるが故にZEPPと並んで当時のハードロック・シーンを席巻したG・F・Rと比べる方がナンセンスと言った事になろうが、、、

 

        69年アルバム

 

とにかくここで初めてバンド名を耳にされた方は、是非YOUチューブでサウンドを確認される事をお勧めしますが、ただ自身がCDを購入して既に20数年経った今、このCDが今でも容易く入手可能か否かまでは判らずにいます。ハードロック・リスナーの中にあっても当時の荒々しいヘビィー・サイケが刺激的で好きといった方々、あるいは初期G・F・Rが好きといった方々には、是非お薦め出来る一枚と自身の眼に映ったのは確かで、コスパさえ問わないのであれば文句なく期待に応えてくれる筈です。