重量感に富んだそのサウンドはソリッド且つヘビィなブリティッシュ・ハードロック /オランウータン | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

ORANG-UTANはイギリスで結成されたものの、アルバムとしてのデビューはアメリカで、実際にはメンバーが英米からなる混成バンド。一部のマニアックなハードロック・ファン以外は、その名を知ることの無かったほぼ無名に近いバンドであるが、近年やっと国内盤CDがリリースされた。そのバンド・ラインナップはVo、Gx2、Bs、Dsの五人で、ブリティッシュ・ロックシーンにあっては色んなブルース・バンドを経験して来た、比較的知名度の高いG奏者/マーク・クラークのGプレイを売りとしたもので、そのGプレイもさることながら、歌メロのキャッチーさを含めた熱唱シャウトVoが特に輝いて映るバンド。

自身は2000年代になって初発CDを同好仲間からの情報で直ぐ入手したが、カッコ良さからは程遠いユル過ぎるバンド名もさることながら、そのチープ且つコミカルなカバーアートはとてもハードロック・バンドがリリースしたアルバムとは思えないもの。その外見と中身とのギャップの激しさに驚きは隠せなかったが、これから71年に唯一リリースされたアルバムの中身を紹介。

G奏者の一人マークは当然のことながら、それに絡むもう一人の無名ギタリストも自ずとブルースに根差された事の判るもので、それはツインGから放たれるブルージーなGソロやフレーズで直ぐ判る筈。両者共に特別テクニカルといった部分はないが、ハードロック然とした馴染み易いヘビィ・リフが物語る様に、ハモリなどを加えたGソロはメロディアスでアレンジも秀逸。全体的にはZEPPにもう一本Gを加えたサウンドと言っても決して過言とは思えないサウンドで、チープでコミカルなカバー・アートとは裏腹にソリッド且つヘビィで実にカッコイイ!特にバスドラのボトムをしっかり効かせた重量感に富んだDsは、ZEPPのボンゾにインスパイアされたものか、Bsと並びヘビネス感に満ち溢れており◎といった処。

意外にもB級を感じさせない熱唱Voの技量には驚かされたが、喉を絞り上げてシャウトする様は中々堂に入ったもの。これでイアン・ギランの様にパワー感がもっと前面に出てくれば、間違いなくビッグネームになれたと思わせるヴォーカリスト。結果的にこのバンド以外で後にその名を耳にした事は無く、無名のままロック・シーンから消え去って行った一人であるとは思われるが、、、、

 

        71年アルバム

 

全編通して捨て曲もなく楽しめるのは、B級とはいえアルバムを購入する上では最大の値打ちで魅力といった事になると思いますが、スターを必要としないサウンドのまとまり感は抜群で、おまけに楽曲個々におけるクォリティも高く、チープ過ぎるカバーアートさえ気にならないのであれば、きっと期待に応えてくれるし、ハードロック・リスナーの方々には文句なくお薦め出来ると思えました。アナログ盤もCDと同様再発されているので、通販なら今でも容易く入手出来るのではないでしょうか。