オルガンを基軸とするがブルージーで美しいGフレーズが楽曲全てを支配したサウンド /ジェーン | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

JANEはG奏者であるクラウス・ヘスを中心にドイツで結成された、他にVo、Bs、Ds、Kb奏者が加わった五人編成のバンド。アルバムは70年代に限れば年に一枚のペースで着実にリリースされているが、結果的には近年に至るまで数十枚リリースしたものの、日本での人気度には明らかに?が付く、ドイツにあってはスコーピオンズと並ぶメジャー・バンドの一つ。

その中で自身が直接所持して聴いていたアナログ盤は70年代に限られるもので、72年の1stアルバムから始まり77年の6thアルバムまで。もちろんCD化と同時にアナログ盤は全て処分し全てCDに乗り換えたが、それ以降は徐々にサウンドがシンセの多用などによってカラフルな上にポップ化され、明らかにハードロックから逸脱したサウンドへ変化した事によって聴く対象とはならなかったが、、、、

 

今回紹介するアルバムは、その中でも自身に新鮮な感動を味併せてくれた、今でも忘れた頃に聴く72年1stと73年リリースの2ndアルバムの二枚。

両作品に共通する部分は重厚で少し歪んだ音を特長とするオルガンが基軸となって楽曲が進行し、それにVoとGが被さるといった、ジャーマン・ロックでは極在り来たりとも言えるサウンド展開で、即興的な速弾きとは無縁のG奏者が曲の随所でブルージーで美しくメロディアスなソロを弾き倒すといった部分や、主に楽曲の主旋律を追ったフレーズは、オルガンがその背後で常に鳴り響く様と並んでクラシカル・テイストまで感じさせてくれるもの。全体的にはドラマティックでマイナーな曲調が多く抒情的で、どこかベタな日本の演歌を感じさせてくれる部分が見え隠れするものの、ジャーマン・ロック独特とも言える重厚さとダークネスが常に共存するサウンド。

2ndアルバムの方が洗練された分、歌メロも馴染み易くメロディアスなものへと少し変化はしたが、Gは相変わらず1stアルバム同様、泣きの美しいフレーズを含む長いGソロを弾き倒している。このGが泣かせてくれる部分は6thアルバムまでは間違いなく共通する部分。リズム隊はただひたすら重いリズムをシンプルに刻んでいるが、Dsにおける手数やオカズの少ないサウンドはハードロック然としたもので、重厚さを伴うバンド・サウンドにはピッタリとマッチしている。

 

     72年1st   73年2nd

 

自身が今でも愛聴するこの二枚のアルバムはバンドにおけるテンションも高く、恐らくバンドの技量や個性が凝縮された二枚だと思えるのですが、70年代における他のアルバムに駄作はないものの、2ndアルバムからほとんど変わり映えしないその楽曲の数々は、飽きを来させるといった点では、何度も聴く気にはなれないといった処が個人的な素直な感想です。ただ一曲だけ集中して聴くのであれば楽曲の完成度は高く、素晴らしい出来栄えを誇るものですが、、、、自身が推すこの二枚のアルバムは数多くリリースされたアルバムの中でも、抒情性をひたすら強調したサウンドにおける新鮮さだけを捉えれば、ハードロックとして同じ土俵にあったヒープやパープルとは一線を画したサウンドで、バンドを象徴するアルバムだと思えます。プログレ・ハード~ハードロック・ファンの方はもちろん、単純にオルガン・ロックが好きといった方々には文句なくお薦め出来ると思います。