オルガンとギターの織り成すソリッドなサウンドが魅力 /ア・フット・イン・コールド・ウォーター | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

A FOOT IN COLD WATERはカナダで結成されたVo、G、Bs、Ds、Kbから成る五人編成のバンドで、確か77年までに四枚のアルバムがリリースされたと思うが、これから紹介するアルバムは、後になるほど徐々にR&R化されてポップになったサウンドを思えば、自身が楽曲の充実度が他のアルバムと比べて若干高い事や、一番ハードでストレートに迫る事を理由に上げた72年にリリースされた1stアルバム。

このバンドに特別突出した奏者はいないが、それが故に個々における自己主張はあまり見受けられず、アレンジを売りにしたバンド・アンサンブルで聴かせるハードロックといった処。中でも少し歪んだ重厚なオルガンは全ての曲の背後で鳴り響いているし、硬質な音を特長とするGのソロとしての出番は比較的少ないものの、ブルージィーなフレーズやエッジを効かせたリフは、ソリッドでヘビィなサウンドを支える基軸ともなっている。

この一糸乱れぬ妙にまとまりのあるサウンドが最大の特長で魅力とも言えるが、その中にあっては熱唱に近いVoの歌唱力が一際存在感を放っている。そのハードロック然とした声質もさることながら、その歌いっぷりは全曲で輝いて見える。

ただアルバム中における数曲は、ハードロック・ファンの眼から見れば捨て曲とも映るポップ・テイストを含んだR&Rナンバーで、結果的にはハードロック・アルバムに全く畑違いのAORサウンドを紛れ込ませた様に映るもの。その中で自身が特に半端なくカッコいいと思えたのは8曲中の四曲だけ。もちろん好みの問題があるので他が駄作とは決して言えないが、これは明らかにセールスを意識したもので、ハードロック・ファンにしてみれば非常に損した気分。本来のバンドの持ち味は間違いなくオルガンを基軸とした重厚でソリッドなハードロックなのに、、、、

ちなみに2ndアルバムも全く1stアルバムと同様聴けるのは四曲だけ、こんな偶然があるのか?と言った処で、どちらのアルバムも聴く対象となるリスナーを絞っていない事がはっきりしている。ただ曲によってはマホガ二・ラッシュの様な曲もあり、Gがフランク・マリノばりにこれでもかと言わんばかりに弾き倒しているので、間違いなくリスナーの期待には応えてくれるが、、、

ただこれだけアレンジの優れたカッコいいサウンドを構築しながら、バンドの方向性が全く見えていない実に残念で勿体無いバンド、といった処が自身における素直な感想。

 

72年1stアルバム 73年2ndアルバム

 

二枚共先に触れた様にハードロック然とした曲が限られるのが現実ですが、その楽曲だけに限れば、完成度自体はパープルなどと比べても全く遜色のないものです。コスパを問わず捨て曲を承知で購入するのであれば、文句なくお薦め出来る二枚だと思います。