女性Voを擁したG及びKb奏者が中心となったジャジーな仏産ハードロック /サンドローズ | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

SANDROSEはフランスで結成された女性Vo、G、Bs、Ds、Kbから成る五人編成のバンドで、これから紹介するアルバムはバンドが72年に唯一残したもの。ただ女性Voの活躍が意外に少ない事や、インスト重視のサウンド形態から察すれば、Voは今回だけ一時的に参加したのかも、、、?ただこの女性ヴォーカリストは英語発音で馴染み易い事もさることながら、高音域が素直に気持ち良く伸びて、パワフル且つハードロック然とした声を特長としたもので、素晴らしい!と思わず叫ばずにはいられないもの。個人的には楽曲全てに渡って、その素晴らしいのどをもっと披露して欲しかった処、、、

アルバム内容はバンドにおける中心人物とも言える、Kb奏者とG奏者の技量が遺憾なく発揮されたものと言えるが、この二人に共通する部分はどちらもジャジィーなプレイを特長としている事で、若干クラシカル・テイストは感じさせてくれるものの、メロトロンが導入された抒情的でドラマティックに展開される曲に限れば、G奏者にブルース・テイストはほとんど感じられず、滑らかで確かな高速運指による速弾きは、テクニカルで、放つG音と並んであのA・ホールズワースと思わせるほど見事なもの。もちろんオーソドックスなプレイ・スタイルではあるが、それと並ぶ流麗なオルガン・ソロも聴きどころ。

リズム隊にあっては、Dsにおけるタイトで締まったバスドラ音を特長とするメリハリの効いたサウンドや、ボトムをしっかり支える弾みながらも重量感溢れるBsが耳に残るが、結果的には演奏レベルの高い奏者四人におけるバンド・アンサンブルが思いっきり楽しめるアルバムで、そのサウンドを一言で語るのであれば、抒情的で美しく、しかもメロディアスでドラマティック、といった事になろうか。メロトロンが全楽曲に鳴り響いている事からプログレ・ハードとも言えようが、その骨のあるサウンドやVoの歌いっぷりは、間違いなくハードロック・テイスト

 

          72年アルバム

 

自身はアナログ盤から90年代にCD化されると同時にCD盤に直ぐ乗り換えたのですが、アナログ盤同様72年における録音とは思えないほど音はクリアーでした。それから数十年の歳月を経た再発CDは更に音の分離や抜けが良くなっていると考えられますが、その録音の良さも加味すれば、ハードロック・ファンの方はもちろん、プログレハード・ファンの方々にも是非聴いて頂きたいと思える一枚です。