アートロックと呼ばれる自身が最初に衝撃を受けたバンド /バニラファッジ | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

このVANILLA FUDGEは自身が最初に衝撃を受けたアメリカのバンドで、1967年から1969年までの間に、短いサイクルではあるが5枚のアルバムを残している。その中でもデビュー作となる1stアルバムに入っている「キープ・ミー・ハンギング・オン」は、カバー曲でありながら素晴らしいアレンジが聴きどころ。とにかくKbで静かに始まるイントロから、それにGが絡んでいくドラマティックに仕上げられたサウンドは、サイケの域は間違いなく超えた、あの当時では唯一無二のものとも言えようか。プロモーション用に当時名付けられたアート・ロックといった名前が正にぴったり当てはまるサウンド

このバンドはDs、Gt、Bs、Kbの四人編成で、その中で特にビッグネームとなったのが、ジェフベックが是非一緒にバンドを組みたいと願ったリズム隊の二人で、その一人はDsのカーマイン・アピス、ヘビーメタルバンドを経た現在でも活躍中と聞く。もちろん彼の良い意味でのドタバタとしたDsサウンドは大好きで、今では随分お年は召されていると思うが、未だ現役である事がリスペクトも出来るし凄い事!二人目はBsのティム・ボガードで、彼のベースは一度聴いたらずっと頭に残りそうに思える、曲中で勝手にリード楽器となり、リズムとメロディーラインが一体となって同時進行するといった正にリードベース、結果的には1stアルバムが素晴らし過ぎて他のアルバム全てが霞んでしまったのだが、これはオリジナル曲にこれといったものがなかったという意味では、アレンジ力だけは抜群なのに、メンバーにおける曲作りのセンスが少し足りなかったせいなのかもしれない、ただ後のD・パープルに多大な影響を与えた事だけは確か。

                     

ちなみに68年作の2ndは一般的には評価の分かれる処で、個人的にも短期間のスケジュールで無理矢理リリースしたとしか思えない、試験的とも言える作品と映った。それが故に1stを期待した方は完全な肩透かしをくらう事になるが、自身は「ショットガン」のフューチャーされた69年リリースのアルバムが1stの次に好き。ここではギターの活躍の場も増え、サウンドは1stと同様劇的さが増し、カバー曲は多いものの当時のサイケとは一線を画したもので、正に洗練された超アグレッシブなハードロック。半年に一枚ペースのリリースが仇となったと思えるが、他のアルバムがカオス的とも言える整合感のないアルバムになっているのが非常に残念なところ。

        68年2nd          69年 

このバンドのアルバム五作品は、YOUチューブでも充分音源を取り込めるとは思うし、最終的にアルバムのコレクションを考えておられる方には、知名度の高いバンドなのでアマゾンでも安く購入出来るのではないでしょうか。自身は全てのアルバムをCDで揃えたのですが、まずはハードロックやヘビィロックが生まれるきっかけとなった、この1stアルバムから聴く事をお薦めしたいと思います。