重量感溢れるサウンドは非常にヘビィでドラマティック、個性的過ぎるVoが特長 /バッジー | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

BUDGIEはBs/Voがバーク・シェリー、Gがトニー・ボージ、Dsがレイ・フィリップスの三人で結成されたイギリスのバンドで、71年にリリースされたデビュー作から現在に至るまで数多くのアルバムをリリースしている。73年からDsがピーター・ブートにチェンジしたものの、サウンド自体にはそれほど影響はなく、個人的に思うには、日本で初めて74年にリリースされた四枚目となる「イン・フォー・ザ・キル」までが、これぞバッジーと呼べるヘビィでハードなアルバム。この四枚のアルバムはどれを採ってもGの硬質で叫びの如きリフやGソロを特長とするもので、楽曲もGが活躍する長尺なものから少しキャッチーなもの、更に劇的な盛り上がりを見せるドラマティックなナンバーまで、とにかくその全体的なサウンドは重く、正に劇的とも呼べるもの。しかも超個性的とも言える中性的声質を持つVoが絡むサウンドは、正にバッジーならではのもの。

自身は今までリリースされたアルバムの全てを所持して聴いて来たが、ここではその中では奇跡的な二枚と感じられた、楽曲としての完成度が甲乙付け難い1stと2ndにおける紹介という事になるが、まず1sの魅力は先に触れた様に楽曲全てが劇的でバリエイションに富んでいる事、Gの奏でるリフがブラック・サバスのT・アイオミに匹敵するぐらい独創的で素晴らしい事、しかもそれは少しジャズにインスパイアされたかの如きアグレッシブなプレイ、それに重量感のあるDsやリズムを刻みながらも良く歌うBs、更に特徴のあるハイトーンVo(金切り声に近い)と、三人の個性が最初から最後まで火花を散らせた楽曲の数々は、とにかくどれを取っても完成度が高く素晴らしい

 

      1st        2nd

2ndも1stをそのまま踏襲した形のサウンドとなっており、多少洗練された部分が垣間見えるものの、リフの格好良さや楽曲におけるクォリティも、更に完成度の高さもほぼ一作目と全く同等。所謂1stと2ndはWアルバムとして売り出されたとしても、全く違和感なく聴ける二枚。何故これだけのバンドが日本で人気が出なかったか自分なりに考えれば、好き嫌いがはっきり別れる中性的なVoといった事になるのでは、、、、

もちろん3rdアルバムも4thアルバムもほぼ同等のクォリティで、内容的にはドラマティックな展開の曲が多めで、サウンドも更に劇的さを増すのだが、これなら誰が叩いても一緒だろうといった、重さも技量も感じ辛い平凡過ぎるDsサウンドが全く好きになれない。

 

           3rd    4th

ちなみに5枚目よりDsがまたしても交替して、更に手数の少ない無個性のドラマーとなり、サウンドもシンプルでキャッチーなものへと変化するが、ここまでやったのではバッジー・ファンは離れて行ってしまう。それでも次はDsも交替して何かやってくれるだろうと期待しながら、結果的にアルバムはCDで全て揃えてしまったが、最初の二作を知る方にはバッジーは4枚目で終わったと思って頂いた方がよいかも。

 

バッジーのアルバムは現在でもCDとして通販で入手出来ると思いますが、最初に紹介した二作品は決して期待を裏切るとは思えない、背中を押してでもお薦めしたいアルバムです。アナログ盤に関しては、国内でもリリースされた三枚目と四枚目は別にしても、最初の二枚は取引金額との勝負だと心得ますが、ロジャー・ディーンによるジャケットが印象的で、レコード・コレクターの方は部屋に飾って楽しめるアナログ盤で揃えた方が値打ちがある様には思えます。