鞄を部屋に下ろし、台所へと向う悟空。
今日は何にするかな…と袖をまくり、冷蔵庫へと手をかける。
その姿を目にしたパンが「どうしたんだい悟空。今日はあたしの日じゃないか」と台所へと歩を進めた。
すると振り返って天使のような笑みを浮かべ「いいよ、僕がやるから」と返す悟空。
悟空のその言葉にを耳に、パンはにっと悪戯な笑みを浮かべた。
「年寄りを舐めるんじゃないよ~さあ退きな悟空、今日はあんたの好きなカレーだよ!」
「ホント!? わーいやったぁ!」
そう言って再び天使のような笑みを浮かべると、悟空は居間へ向かいソファへと腰を落とした。
スッとテレビを付けると「Mr.サタンの過去に迫る!」とテロップが表示されてた番組が表示される。
そのテロップを目にした悟空が「パンばあちゃん、ひい爺ちゃんがテレビに出てるよ!」と声を張り上げる。
パンはグツグツと音を上げる鍋を目にしながら「サタンおじいちゃん…あの世で元気にしてるかねぇ」と小さく笑みを見せた。
テレビに写る過去の天下一武道会での闘いを放送に、すっげーと目を輝かせる悟空。
パンはテレビに張り付くそんな悟空の姿を目に、小さく笑みを浮かべるのであった…
…だが、その時だった。突然胸へ走った痛みにパンがドサッと床へと倒れる。
その音を耳に振り替える悟空。倒れたパンを目に、わっとソファから立ち上がりパンへ駆け寄る。
「どうしたんだよ、パンばあちゃん! パンばあちゃん!」
いくら声をかけようと「うっ…」と喉から絞り出したようなうねり声しか発しないパン。
徐々に、悟空の脳裏へ死の文字が浮かび上がる…そして自然に、その目へと涙が浮かび上がった。
「……なーんてね、冗談だよ!」
何事も無かったかのようにスッと立ち上がるパン。その姿に悟空は「え…?」と目を点にしている。
ひっひっひ、と笑みを見せ「あたしがそんな簡単に死ぬ訳がないだろう?」と口にするパン。
先ほどのパンの様子は演技だった…その事に気づいた悟空は浮かべた涙をグッと拭い
「もう~また騙されちゃったよ、パンばあちゃんは若いな~」
そう笑顔を見せ、慌てた様にソファへ駆け戻る悟空。
パンはその後ろ姿を目に、乱れた呼吸を押し殺し
遅れ出た額へ伝う汗を拭い…精一杯絞り出した、小さな笑みを浮かべるのだった。
其之三へ続く