「狭いとは、聞き捨てなりませんね。」
ヨンは、ウンスを壁に押し付けながら、不機嫌そうに答えた。
「そうじゃない、少しは自由にさせて欲しいのよ。」
「十分、自由にしておるでしょう。」
お腹が空いたと言っては、饅頭を買いに出かける。
化粧品を作るのだといっては、護衛も連れずに姿をくらます。
クッパを食べたい・・
ああ、限が無い!そのたびに武閣氏や迂達赤達が巻き添えになっていることを,知っておられるのか?

「とにかくこれから貴方の護衛は俺がしますので、そのつもりで。」
「えっ?冗談でしょう?」
「何か不都合でも?」
「それは・・・」
嘘でしょう?四六時中、傍に居るってこと?
困るは・・そんなことされたら・・

「隊長は忙しいでしょう?ほかの人に頼んだら?いいえ、私は一人で大丈夫よ。」
「お一人にできるわけ無いでしょう。俺の代わりはチュンソクにやらせます。ご心配なく。本来、貴方をお守りするのは俺の役目ですから。」

役目?やっぱり・・その為にだけに私を守ってたの?
そうよね、分かっていたわ。この人は義務感だけで傍に居るのだと・・
分かってはいたけど・・聞きたくなかった。
イライラする・・言いたくない言葉が勝手に・・

「もう・・いいわ。守らなくて・・」
「医仙?」

如何してだろう、涙が勝手に・・
責められて、怒られて、気持ちを聞かされて・・
ああ、もう頭の中がぐちゃぐちゃだわ。

「もう、守らなくっていい!そう言ってるのよ!」
「守らなくての良いと?」
「ええ、そうよ。そうしましょう、そのほうがお互い楽だわ。」
「本気ですか?」
「ええ、本気よ。いままでありがとう。」
ウンスは涙を堪えて、顔を背けた。
また叱られる・・それでも口から出た言葉だ、もうどうしようもない・・

「・・・わかりました。」
「えっ?分かりましたって?」
てっきり叱られると思ったウンスは拍子抜けした。

「もう貴方を守ることは止めます。よろしいのですね?」
「い、いいわよ。」
「では護衛の者を遣します。くれぐれも無茶わなさらないように。」

「本当に、行っちゃうの?」
「守らなくて良いのでしょう?俺もそのほうが楽です。」

やっぱりそれが本音?今まで私の事を面倒だと思ってたのね。

そうだろうと思ってはいたものの、彼の口から直接聞かされると、やっぱりショックだった。

「では、これで失礼します。」

「待って、本当に行っちゃうの?私も言いすぎたわ、謝るから、だから・・」
ウンスはヨンの腕を掴んだ。
言葉とは裏腹だ。緊急事態に体が勝手に反応してしまう。

ウンスの腕をゆっくり振りほどきながら、ヨンは答えた。

「俺は忙しいのです。手を放してください。」

そう言うと、彼は振り向きもせず部屋を出て行った。
その後姿を見つめて、ウンスは呆然とする。

如何しよう・・怒らせちゃった・・
瞳に涙を溜めて、ウンスは立ち尽くした。