最近出版された「健康格差」という本に興味深い事例が載っていたのでシェアしたいと思います。
埼玉県幸手市では「しあわせすぎキャバレー」というイベントを開催しているそうです。このイベントは地域の高齢者を対象に、ダンスや健康体操などを行うイベントです。
赤い衣装やうさぎの耳をつけた人が高齢者もてなします。このイベントのポイントは、もてなし役の人が現役の看護師や作業療法士だということです。楽しいイベントをしながらさりげなく困りごとや健康不安がないか観察し、相談があれば窓口につなげたりしているそうです。出される食事もご縁防止の工夫が施されたものです。地域でのつながりが希薄な男性に、キャバレーだったら楽しく参加できそうだと思ってもらうことが目的のようです。
高齢者の健康状態を把握し、何らかの疾病のリスクが高い人に対処をお願いするなら、行政で健康教室などを開催すれば十分だと思う人も多いと思いますが、それでは参加しようという気がわかなくなるのも人情です。人には自尊心もありますから、「あなたリスクが高いから教室来てください」と言われても、かえって反発する人もいるのではないでしょうか。あえてハイリスク者に限定せず(ハイリスク・アプローチ)に誰でも気楽に参加できる場を設け、全体にアプローチすることで、結果的に多くの方の予防に結び付けるという考え方(ポピュレーション・アプローチ)が根底にあります。
高齢者のQOLや介護予防を考えたときに、大真面目に正面からアプローチするのではなく、笑いや楽しさをプラスしてそちらを前面に押し出す方法もあるのではないかと思います。僕も看護士や保健師の方とコラボして、閉じこもりがちな方に気楽に外に出てもらえて健康にも役立つイベントを開催できればいいなと思っております。