著:司馬遼太郎
文春文庫

斎彬から西郷、桐野にいたる日本肥大策は、欧州の領土拡張の動機やその歴史からみれば、無邪気なものであったろう。
しかしその無邪気さは弁護されねばならない。なぜなら、日本はその困難な地理的環境に位置してしまっているのである。―日本を列強のあなどりからふせぐ。
ということが、明治維新の基本主題であり、この防衛上の危機感をエネルギーとしてこの幕藩否定の革命は成立した。