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エニアグラムと哲学のTakkme

◉9つの性格タイプ論としてのエニアグラム
◉神秘と哲学の両輪

ボクは装丁で本を買わないようにしている。
日本の装丁は美しい。

ボクは雑居ビル五階のワンルームに住んでおり、
地震でよく揺れる。本棚の圧が凄い。
そんなこと(装丁で買う)をしていたら、お金もなくなる上に、
孤独死の危険も避けられない。笑




ある有名な装丁家が、
「装丁は中身の単なるイラストレーションであってはならず、
 そのテキストの構造が表出したものであるべき」
というようなことを言っていた。
確かに。

ボクはオブジェとしての本も好きである。
しかし、それは装丁で本を買うということとは少し違うだろう。
たとえ凄い芸術家が装丁を担当したとしても、
単に面白いオブジェが出来上がるだけの可能性もある。
まさに中身の構造が表出したオブジェという意味において、
表題やネームを含めた装丁は重要な役割を担っているのかもしれない。

 

 

『パリの砂漠、東京の蜃気楼』金原ひとみ

 

買ってしまった。笑

ちろん装丁だけで買ったのではない。

ボクが金原ひとみに出会ったのは、
村上龍の文庫版『コインロッカー・ベイビーズ』が
上下巻合本になった際の解説を読んだ時である。
村上龍と同じ芥川賞を獲ったことは知っていたが、

文章を読んだことはなかった。

立ち読みした書店でそのまま立ち尽くしたのを覚えている。
この時点でもかなり若いはずだ。
年齢は関係ないとはいえ凄いなと思った。その足で購入。
上下巻を単行本で持っている上に「解説」だけで二度目の購入である。
地震が怖い。

以前◉ショーシャンク・ベイビーズという日記で
引用した文章を今一度引用させてもらいたい。

「今も私はコインロッカーの中にいる。
 外に出る方法は分からない。
 この世界全体がコインロッカーならば、
 出る事など不可能なのかもしれない。
 けれどコインロッカーの中で暗闇を見つめ
 声を上げ続けなければならない。
 ・・・
 私も必ず何かしらの方法でコインロッカーを、
 世界を破壊する事が出来るはずだ。
 自爆してもいい。とにかくこの世界を破壊したい。
 コインロッカーを爆破したいという気持ちを捨てたら
 全てが終わりだ。必ず、外には・・・
 ・・・
 眠るとは、意識を失うことだ。
 私は眠るのも気絶するのも死ぬのも嫌だ。
 常に目を開け全てを意識していたい。
 全てを見つめ、その全ての中にいる 自分を見つめたい」

 (金原ひとみ/『コインロッカー・ベイビーズ(村上龍)』解説より)


彼女の実存的な表明(告白)により、テキストの構造が表出している。
村上龍が『コインロッカー・ベイビーズ』を書いたのが28くらいだろうか。
この近くに彼女が生まれているとすれば、
彼女はまさにコインロッカー・ベイビーズだ。
この人の本は読もう、そう思った。




これは書籍全般の話だが、
表紙に「顔」があるのも売れやすいと聞く。

(帯などを含め著者本人とは限らず、イラストなどでも)

雑誌などもその好例だと言えるのかもしれない。

「目」が重要なのかもしれない。

目と目が合う、、

 

 

ボクはエニアグラムという性格分析をしている。
その上で最も重要なことの一つが「顔」である。
「顔(表情)」とはその人の性格が表出したものである。
性格(エニアグラム)とは脳を含めた肉体的な構造だと
ボクは考えているので、
まさにそれは本における装丁の関係に似ていると思う。


今回、購入した彼女の本には、
西加奈子と平野啓一郎のあおりの推薦文が帯に刷ってある。

「自分を愛することを認めてくれる人はたくさんいるけれど、
 自分を愛さないことも認めてくれる人は希有で、
 金原ひとみさんはその一人だと思う。」
西加奈子

まっすぐで飾らない言葉が
「金原ひとみ」という構造を的確に表出させている。
西加奈子もきっと信頼出来る書き手に違いない。




書店を一周し、装丁をもう一度見直した。
角背も好きだ。ずるい。

と思いながら手に取りレジへ向かった。

 

 

地震が怖い。








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ちなみにボクは装丁の仕事をしている。
だから、ずるいと思うのかもしれない。笑