大好きな曲を聴きながら。。
「超光速物質が出現してよかったなあ。
光なんてあまりにノロすぎるものなあ。
原因とその結果の流れの中でしか生きられないとすれば、
人生はほんとツマラネエなあ。
『うつろ船』はむろん『カラダ』のことだ。
カラダは、空(から)なのだ。
空洞のだ。
この空洞の中では、時間は空間になり、空間は時間になり、
過去は未来に、未来は過去になり、
皮膚の外側にカラダは無限に広がりつつ、
それは一瞬に、この頭の中心部に帰ってくる。
だからダンサーは超光速存在なのだ。」
(虚船/笠井叡)
ボクはたまに笠井叡の踊りを見に行く。
笠井叡(かさいあきら)とは昔、暗黒舞踏と呼ばれた舞踏の踊り手である。
『虚船(うつろぶね)』という舞台を観た時のこと、
こんな場面があった。
共演者の(主催者で息子でもある)笠井瑞丈に向かって
笠井叡が言う。
「踊ってる場合か!」
その時、ボクの中に何かが閃き、振動し、涙が溢れてくる。
閃きってのは超光速だよね。
だから原因と結果がひっくり返る。
例えば、 サッカーの試合、
究極の場面で監督がこう言う。
「お前ら、サッカーしてる場合か!」
世の中がこんな大変な時にサッカーなんかしてる場合じゃない、
と言っているわけではない。
(もちろん、その意味でも構わないけれどね)
なんとなれば、ここはワールドカップの決勝の舞台、
サッカーを超えなければならない地点に追い込まれている。
もうサッカーもクソもあるものか。
今、「サッカー」を忘れなければならない地点かもしれないのだ。
その時、彼らは超光速で閃き、動く(踊る)。
そして、スローモーション、、時が止まる、、
そして、観客も、、
もはや、笠井叡は踊ってはいなかった。
「踊っているのはお客の方だ。
私は静止している!」
笠井叡
<ボク>という場は一次元だ。
一次元が何のことかは分からないが。 。
「点」?「点」って何のことだろう?
意味は分からない。
私たちは三次元の世界に住んでいるので、
「点」の意味は分からない。
そんなものはない、、
ただ、
<ボク>という場は一次元であり、
それは言わば、 三次元からすれば静止しているのかもしれない。
その場だけは、真の意味で他の場と重なることがない一点。
それはもはや「絶対」と呼べる地点。
その一点が<ボク>と<存在>が手を結ぶ地点である、と
その時、ボクは閃いた。
<ボク>という場である一点を仮に「魂」と呼ぶとするならば、
つまり<魂>は静止しているのかもしれない。
果たして、動いているのは世界の方ではないのか?
それが独我論の根源ではないだろうか。
それが相対論の根源ではないだろうか。
それが量子論の根源ではないだろうか。
それが輪廻の意味ではないだろうか。
それは絶対と相対が同時である『今』
そして、
それでもボクは言語の限界に向かって突き進むのだ!笑
また笠井叡はこうも言った。
「踊りはコンテンポラリーだ」
これは必ずしもコンテンポラリーダンスのことを意味してはいないだろう。
この時、コンテンポラリーとは「今、現在、同時性」。
ニーチェの道徳は「どこかへのルート」であることをやめたのだ。
彼の道徳は「踊り」へ人を招待する
(神的な、孤独な踊りだ。しかし踊りであることに変わりはない。
そして踊りというものはどこへも向かわない)。
ジョルジュ・バタイユ
「メンデルは遺伝の法則を知っていた」という話がある。
つまり、 ある時、
メンデルに「遺伝の法則」が閃いた。
そしてその後に、
その法則に至る無限の道筋(ロジック)の中から、
その結果に向かっての一本の道筋を探り当てる。
決して逆の順序ではない。
逆では無理があるのではないだろうか。
棋士の羽生善治は、局の最終盤、
勝利が見(観)えた時に手が震え始めると言う。
「つまり、どういう状況かということは非常によく分かっているので、
最後の場面は自分の方が勝ちだと思ったんですけど、
一番いい手を指さなきゃ勝てないほどの微差の有利さだ、と思ってたんです。」 (羽生善治)
数千、数万(それ以上?)のシミュレーションの全体像がある瞬間に閃く。
これは彼が「大局観」と言っていることにも通じるだろう。
それは、もはや結果が先に観えるという事態に限りなく近い。
それは「思考」を超えたものだと羽生も指し示そうとしていた。
「(頭の中が)飽和してる状態だと、そこからはもう何も生まれないんで、
ある程度のスキマが出来てる状態っていうか、
ある程度の空っぽの部分がある状態っていうのがないと、
なかなか深い集中ってのは出来ない」(羽生善治)
「将棋(思考)してる場合か!」といったところだろうか。笑
正しい直観は「理に適っている」とボクは考えている。
理に適っていなければ閃かない、はずである。
正しい直観は、超光速だ。
古畑任三郎はあらかじめ犯人を知っているのだ。
それは三谷幸喜から犯人を耳打ちされているからではない。
(それは田村正和のことだろう笑)
だから名探偵は超光速存在なのだ。
合掌。