「貿易赤字の本質をみろ!日本経済は長期衰退する」 | 貸し倉庫 埼玉 瀧田倉庫産業社長のブログ

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前回のエントリーに引き続き、日本経済に対する悲観的な見方を紹介します。

国際情報誌「SAPIO」の平成21年4月22日号にあります「『史上最大の貿易赤字』が暗示する近未来 警告!『日本のアメリカ化』が始まっている」という見出しの大前研一氏による記事です。

大前研一氏らしい貿易統計などを元にした分析がされております。

「労働コストの高さゆえ、製造業が日本からどんどん逃げ出している。日本は衰退し、国民は職を失って窮乏する」
簡単に述べれば以上です。

加工貿易立国の日本、食料もエネルギー資源も海外に依存している日本の今後の長期トレンドの本質を捉えているように思えてなりません。

この中で経営コンサルタントの大前氏らしく、解決策を提示されていますが、日本の現状では、大前氏の解決策を実現、実行することは不可能でしょう。

先日の貿易統計のニュースでも、官房長官は「世界的な景気の低迷による貿易量の低下」としてしか捉えていませんし、「注視する」ぐらいしか述べておりませんし。

下記に内容を抜粋します。



もしかすると、私が最も危惧していることが起きつつあるか、すでに起きてしまったのかもしれない

それは「日本のアメリカ化」という現象である。アメリカでは70年代から80年代にかけて、製造業が国内から消えてしまった。これまで、それはアメリカ企業に競争力がなくなったからだという分析が主流だったが、実態は大きく違っていた。実は米企業は衰退しておらず、アメリカ国内の労働コストが高くなったため、競争力のある企業が続々と労働コストの安い海外に出て行ってグローバル化していっただけだったのである。

歴史を振り返ると、安くて良質な労働力を求めて海外に出て行った産業・企業が自国に戻った例はない。

いま日本企業は、かつての米企業と完全に同じ動きを見せている。まだ国内に工場を残してはいるものの、粛々と海外展開を拡大している。

日本の場合は工業製品以外に輸出するものがない。ソフトウェアは世界市場で全く競争力がないし、金融商品はさらに世界で相手にされない。どちらも日本人しか買わない代物だ。例外と言えるのはアニメやゲームソフトなどアキバ系サブカルチャーだが、産業としての規模は最大2兆円と小さい。

ただ、すべての分野で日本が産業のコアを失ったわけではない。たとえば工作機械、組立機械、金型機械など製造装置の領域は、まだ日本が世界の8割以上のシェアを握っている。また、シリコンウエハーやフォトレジスターを作ったり、加工したりする、いわゆる製造業の上流領域は日本が依然として強い。ほかにも液晶パネル、ガラス板、接着剤など意外かもしれないが製品より素材、材料の分野こそ日本の最後の砦となっている。まずはこれらの産業が日本から逃げ出さないように考える必要があるだろう。

個々の企業が合理的な判断をして、それぞれのタイミングで海外に出て行った。それが積み上がった結果、ついに貿易統計にも産業流出の証拠が表れてくるようになったわけで、ここまできたら企業を国内に呼び戻すことは不可能だと覚悟しなければならない。アメリカは30年も前にそれを経験し、いまも出戻った企業は全くといっていいほど、ない。

まだ国内に残る機械や素材産業がやりやすい環境を整え、さらに規制緩和で新しい産業勃興を後押しする。一刻も早くそれをやらなければ日本経済は猛スピードで空洞化するだろう。

「政治には期待しない」と言う国民の気持ちもわからないではないが、それでは日本は衰退し、そう言っている国民は職を失って窮乏する。