ユダヤ教、キリスト教、イスラム教はともかく、それ以外の宗教の人でもなんとなく知っている物語である。
その聖書ストーリーの宗教がメソポタミアやイラン高原などに広がっていく過程で起こった様々な宗教的な反応や変化について書かれた本である。
この本では聖書の物語に対するグノーシス主義などの新解釈をアナザーストーリー、他の宗教が聖書ストーリーに取り込まれたものをサブストーリーと呼んでいる。
それらの中の代表的なケースを取り上げている。
私にとっては全く知らない場所の話だったのだが、宗教というものの奥の深さと自由さを感じた。
聖書の物語に対して全く違う反応をするのである。
物語の裏を読んでみたり、新たな存在を加えてみたり、自分の宗教の人物を聖書に当てはめてみたり、ある意味でやりたい放題に新解釈を加えている。
現在から考えると、そういうやり方があることさえ分からないので、とても新鮮である。
そもそも、聖書にあらたな解釈を加えるという発想がない。
マンダ教、マーニー教、ゾロアスター教、イスラム教イスマイール派など、現在は完全に少数派なのだが、それらが聖書の物語に反応し、独自の考えを広げていった。
それは同時に現在のしっかりと固まった聖書の物語を完成させることにもつながった。
その過程はすごく興味深く、おもしろかった。
なぜか私は笑ってしまう文章のせいもあって、真面目な本なのに一気読みしてしまった。
古代オリエントの宗教 (講談社現代新書)/講談社

¥777
Amazon.co.jp