出版社:KADOKAWA
浅倉 秋成(著)
 

 私立北楓高校で起きた生徒の連続自殺。ひとりは学校のトイレで首を吊り、ふたりは校舎から飛び降りた。「私は教室で大きな声を出しすぎました。調律される必要があります」という、同じ文言の遺書を認めて。垣内友弘にとって三人の死は疑いようもなく自殺―のはずだった。白瀬美月の言葉を聞くまでは。「三人とも自殺なんかじゃない。みんなあいつに殺されたの」最高のクラスで、何故『自殺』は起きたのか。『犯人』の目的は何なのか。伏線の狙撃手が贈る、慟哭の本格青春ミステリ。(Amazonより)


浅倉 秋成(あさくら あきなり)
 1989年生まれ、小説家。関東在住。第十三回講談社BOX新人賞Powersを『ノワール・レヴナント』で受賞しデビュー。その他の著書に『フラッガーの方程式』『失恋覚悟のラウンドアバウト』など。(Amazonより)
--------------------------------------------------
 日本には多くの組織がありますが、ほとんどがピラミッド型で、極一部の人が、組織全体をコントロールするような体制ではないでしょうか。ブロックチェーンのような組織であれば、それぞれが言いたいことを言えるのかもしれませんが、現実は大半の人が我慢をしているのではないでしょうか?お互いの不満は表に出すことなく、表面的には上手くいっているように見える組織。やがて限界を超えた人が消えていっても何事もなかったように進み続ける組織。優しさとか、思いやり、人としてあるべき姿。そいった無くしてはいけないものへの問題提起がこの小説にはあるのではないでしょうか。ミステリとしても楽しめる作品です。


わたしは彼の家を永遠にさばくと彼に告げた。それは自分の息子たちが、みずからのろいを招くようなことをしているのを知りながら、彼らを戒めなかった罪のためだ。

(サムエル記第一3章13節)