何年も前の話ではあるが・・。
目的地に近づいたとき、フロントガラスの水滴がみぞれ交じりになってきた。
一瞬引き返そうかとも思ったが、天気予報は雨だったので、そのまま目的地に向かった。
用件を済ませ外に出ると雪景色に変わっていた。
路面はまだ黒く、車も走っているので幹線道路なら大丈夫だろうと、帰路に就いた。
3車線の左側を走った。
全体的にいつもよりスピードは控えめだが、それでも50キロ程度の流れになっている。
このまま家までたどり着けることを祈りながら走っていると、ナビが前方渋滞、ルート変更の画面になった。
素直にナビに従い、街中に入るとさすがに歩くような慎重な運転になっていた。
最悪の事態を避けるため、最寄りの駐車場に車を置いた。
JRの駅に行くと、電車は停まったままだった。
東武線は動いているようなので、東武線で迂回しようと改札に向かった。
乗り換え切符をもらい、乗り換えた電車は途中どまりだった。
ホームは人であふれたが、電車は上りも下りも来なかった。
東武線もやっと動いているのかもしれない。
迂回ルートをとっても家にたどり着けるかどうか不安になった。
どうすればリスクが小さいか考えようとしたとき、上りと下りが同時にホームに入ってきた。
判断できないうち、両方とも発車してしまった。
ホームに人がいなくなり、体の芯から冷え切っていることに気付いた。
車を運転中、引き返そうかと思ったあの時、決断していればこんな寒い無駄な時間を浪費せずに済んだものを、と優柔不断を悔いた。
駅前の飲食店で様子を見ることにした。
家に電話して状況を伝え、情報を入れてもらうことにした。
時間はなかなか動かなかった。
夜になって、電車が動き出したという連絡をもらい、駅に向かった。
家にたどり着き、一段落してから、引き返そうと思ったあの時の話をした。
意外にもあの時と同じ時刻、家の周りはすでに雪が積もっていた、ということだった。
果たして、どの判断が適切だったのか、翻弄されるまま終わった一日だった。