コロナ禍が収まってきて、旅行も旧に復しているところから、これまでWEB個展や本ブログ記事の中で断片的に「グローバルクルーズ」について述べてきたが、現時点において、改めて「グローバルクルーズ」を振返ってみたい。
グローバルな世界に自ら身を投じた者として、私のささやかな経験や知識に基づき、実際にはグローバルクルーズの経験はないのであるが、架空のクルーズとして、自らの絵画の力により世界54ヵ所を巡ることにして、同じ時代を生きた人達と共感を分かち合えればと想った。
わたしは、2017年から次のようなコンセプトにより連作を試みて、2019年11月に「幻想グローバルクルーズ第2回瀧光展」を相模原市民ギャラリーで開催した。
- 旅行手段は船旅とする。
海は国境がなく自由で開かれた世界である。
その船の中は国籍を問わず、様々な人達が交流する場になる。 - 人類を繋ぐ大動脈であるスエズ運河とパナマ運河は必ず入れる。
- グローバル観を表すために、皆既日食と極光(オーロラ)を中心に据える。
- テーマは景色ではなく、文化芸術とする。
- 世界は広いが、メインは日本、欧州、北アメリカを中心とする。
こちらから世界に出る場合は日本の旅は必要ないが、
世界の人達も対象なので、日本も私の思い入れに従って縦断する。 - 2019年現在までの事象にするが、
文化芸術が対象なので、絵柄は過去に遡り、かなりの時間的な巾を持たせる。 - 今回のテーマの発信先 全世界のわれわれ同世代の人達が対象である。
そして、この時代を既に生きクルーズイングを楽しみながら、過去を振り返る
高齢者が主な対象である。
そして、美大大学院に入学して、コロナ禍の自宅待機の中で、友人を亡くした閉塞感を打破するために、大学院の研究活動奨励金を活用して、グローバルクルーズ第2回個展をベースに、2020年7月に「global cruise 第3回瀧光展」をWEB個展として制作発信した。
これは、WEB個展の特徴を活かして、絵画だけでなく、文章を交えて、音楽も加えて、一つの作品に仕立てている。
そして、発信内容はもともと全世界の同世代の人達を想定して描いたが、更にインターネットによる発信方法により、文章も日本語と英文で作成し、広く全世界に発信した。
これら制作コンセプトの核となるのは、「メイフラワー号」の表紙絵である。
「メイフラワー号」は、手前の黒い陰に当たる部分なのだが、米ニューヨーク「自由の女神」の右手が掲げる松明(たいまつ)を前にしている。
メイフラワー号は、ニューヨークを目指したが、実際に辿り着いたのはニューヨークの南にあるプリマスの地であった。
そして、英国から信仰の自由を求めて清教徒の人達が「メイフラワー号」でアメリカに向かったのは1620年なのだが、フランスから「自由の女神」が贈られたのは1886年である。
メイフラワー号がニューヨークに着けたとしても自由の女神はまだ存在していない。
時代と場所が違うのだが、敢えて、架空の世界として、アメリカを象徴する「自由の女神」の前に「メイフラワー号」を出現させた。
元勤務先創業者の言葉に「松明は自分の手で」というメッセージがある。
・・・業界企業には前をいくものの明かり、その明るいところにくっついてゆくいきかたをするものが多い。
当社は、たとえ、小さな松明であろうと、自分で作って自分たちで持って、みんなの方角と違ったところが何か所かありながら進んでいく。・・・
大きな松明を持った先行大企業がある。その松明が照らすところのものは、先頭の人にとってはいいけれど、後続の人にとってよいか悪いか、うしろにいては分からない。いつ火が消されるのか。いつ目の前で扉がしまるかについて判断ができない。・・・
全世界を自由の光で照らすという「自由の女神」の趣旨と「松明は自分の手で」のそれとは違っているが、そのベースとなるものは相通じるものがあるように感じる。
そして、2020年7月にWEB個展を立ち上げてから4年が経過しようとしているが、リアル個展と違って365日24時間オープンしており、いつでもコストゼロで簡単にアクセスできる。リンクにより他のグループとの連携も広がる。等メリットも少なくないので、常設展示室として現在も維持している。
そして、本ブログが立ち上がって、タイムリーに新しい情報を発信できるようになったが、発信先は、日本に限られる。
世界の交流が再び活発になってきているなかで、全世界に自らの制作物を発信し、世界各地の人達がアクセスできる状態になっている「global cruise 第3回瀧光展」WEB個展の存在意義は私にとって益々高まってきているのではないかと思う。