ピンキースカイ、いつも励ましてくれる人よ | 君が好き

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アイドルの話でもしようず。

アイドル離れしたハーモニー、スピード感あふれるダンス、ピンキースカイといえばそのスキルの高さにどうしても目が行ってしまいますが、現場に行くと彼女たちのそのスキルは、あくまで彼女たちの魅力の一部に過ぎないと感じてしまいます。
昨日は大町町の納涼祭りにピンキースカイを見に行ってきました。
お祭りのイベントステージの司会者としてもピンキースカイはイベントを盛り上げていました。
その姿を見て、ぼくはここにピンキースカイの一番の魅力があるなと悦に入っておりました。
彼女たちの一番の魅力、それはアイドルらしからぬ歌唱力でもダンスでもなく、アイドルらしからぬ人懐っこさと思うのです。

佐賀で定期的にライブを始めた2013年ごろ、ピンキースカイはライブの日は会場の前に立って道行く人に「いまからわたしたちのライブがあります」と呼びかけていました。
もっとも当時の集客は多くて20人程度、それもほとんどが顔見知りで、有料ライブだったから通りすがりの人が足を止めてライブを見ていくことなどほとんどなかったと思うのですが、それでも通り過ぎる人の背中に彼女たちは声をかけ続けました。
普通なら「アイドルにこんなことをさせなくても」と思うようなことですが、アイドルでありながらもひとりでも多く人に歌を届けたいという演者の純粋な気持ちが、からぶりとわかっていても道行く人に声をかけていたのでしょう。
おそらく、これはぼくの見たピンキースカイのあくまで一部で、当時は同じような下積みをたくさん彼女たちはやっていたのだと思います。
そしてその結果がいまの百戦錬磨ともいえるピンキースカイの人懐っこさにつながっていると思うんです。

ライブも安定感ありました。
ピンキースカイのいわゆる外イベは、オリジナル曲を聴かせヲタクをうならせるよりも、誰でも知っている曲で一般のお客さんの目をステージに向けることに主眼が置かれています。
佐賀弁のミュージカルで高園渚さんはステージから降りて、大町町民グラウンドを走り回り、コールレスポンスの曲で子供たちを中心にステージに人をひきつけ、そしてしっとりした夏の名曲をアイドル離れした素晴らしい歌唱力で聴かせる。
佐賀県の朝市に定期的に出演していたこともあり、一般のお客さんを乗せるのもおてのものです。
ステージは盆踊りで使う櫓だったのですが、ちょうどプロレスのリングのような広さの四角形で、そのステージに近づいてくる子供たちに手を伸ばし、間奏でもこのイベントを楽しんでほしい気持ちを終始訴え、飽きさせませんでした。
ラストの「君に届け」ではたくさんの人が手を上げ、まさにピンキースカイの人懐っこさがたくさんの人をひきつけました。

ライブ終了後、さすがだなと思ったのはそのあとのMCでした。
ライブ中、ぴかちゅうと呼ばれるピンキースカイのヲタクたちは沸いていましたが、この日はお祭り全体を盛り上げるのが彼女たちのミッションであり、ヲタクたちもそのことをわかっていて、変な言い方になりますが、割り切っているところもあったと思います。
「いつも見ている俺たちよりも、ピンスカがいるだけで喜ぶ俺たちよりも、今日しか会えない、ピンスカをよく知らない人たちと盛り上がってほしい」
それがヲタクの気持ちだったと思うんです。
そして一般の人たちと大変な盛り上がりを見せたあと、園田有由美さんはその熱気が収まらないステージでこう言われました。
「みなさん、一緒に盛り上げてくれたこちらの黄色い人たちにも拍手をお願いします」
ヲタクたちは照れたような顔をして苦笑をしていました。
ただ、その日会場にいる人の心をこの一言は完全にひとつにしました。
さすがとしか言いようがありませんでした。

たくさんの人の気持ちに入り込み、その心を温かくする。
もちろん高いレベルの歌やダンスでアイドルヲタクをうならせるそのスキルは素晴らしいです。
でも、その歌やダンスというツールで素晴らしいステージを見せて満足させながらも、それ以上の人懐っこさで人の気持ちを温かくさせる。
それこそがピンキースカイの一番の魅力であり、夏祭りのようなイベントではその姿勢が際立っていたなと感じました。