建設業計理士試験の合格を妨げる一番の壁は、第1問(論述)ではないでしょうか。

予備校の模範解答は、長いし言い回しがしっくりこないので、私には覚えられませんでした。

どうせ本番は、時間ギリギリに追い込まれた状況で書くのが目に見えているので、文字数も減らして、自分でイメージができる範囲に絞り、部分狙いに徹することにしました。

 

第1回
①収益性分析において総括的に用いられる比率
収益性分析において総括的に用いられる比率として資本利益率が挙げられるが、
特に重要なのが基本比率である「総資本経常利益率」、「経営資本営業利益率」、
「自己資本当期純利益率」である。(87文字)

②上記比率を高めるための方策
資本利益率は、完成工事高利益率と資本回転率に分解することができる。資本利
益率を高めるためには、「工事の採算性を向上させ完成工事高利益率をアップさ
せる」「資本の利用効率を向上させ資本回転率をアップさせる」の2つの方法が
考えられる。(113文字)

第2回
①製造業と対比した場合の資産・負債及び純資産の構造の特徴と、当該特徴に関
連して財務分析上考慮すべき点
まず、建設業には、受注請負産業の典型であり発注ごとに異なる工事現場におい
て行われるという特徴がある。そのため、製造業における工場のような大規模な
設備投資を必要とせず、固定資産の構成比が低いことが一般的である。このこと
は、機械化が進みづらく、労働生産性が低くなる要因となっている。
次に、建設業は外注比率の高さから、完成工事原価を材料費、労務費、経費の3
つではなく、外注費を加えた4つに分類する。勘定科目においても、未成工事支
出金及び未成工事受入金という建設業界特有のものが追加され、流動資産及び流
動負債の構成比率が高くなっている。
また、固定資産の構成比が低いことから派生して、自己資本の構成比が低い企業
が多いことも特徴である。自己資本比率や固定長期適合比率を高め、財政基盤の
安定性に努める必要がある。(349文字)

第3回
資金フローの分析である資金変動性分析の必要性
資金変動性分析とは、どのようにして資金を調達し、調達した資金をどのように
使用したかを分析することをいう。その分析のために最も重要であると位置づけ
られているのが、キャッシュフロー計算書である。キャッシュフロー計算書は、
損益計算書だけでは把握できない非資金損益項目の実態を明らかにし、黒字倒産
といった不測の事態を避けるうえでも重要である。(167文字)

第4問
流動性分析の意義及び建設業の流動性分析において特に配慮すべき
流動性分析とは、貸借対照表における流動資産と流動負債の数値から、企業の短
期的な支払能力を分析するものである。典型的な指標に流動比率がある。これは
かつて銀行家比率とも呼ばれ、流動資産÷流動負債で算出される指標であるが、
建設業では未成工事支出金と未成工事受入金が巨額であるため、これらを控除し
て算出することが一般的である。
なお、類似の指標として、分子を当座資産として算出した当座比率があるが、未
成工事支出金と未成工事受入金を控除して算出する点は、流動比率と同様である。
なお、流動性分析の指標には、資産と負債のバランスから算出されるものが典型
的だが、完成工事高の何か月分の流動資産を保有しているかを表す指標もある。
(現金預金手持月数、棚卸資産滞留月数、等)(303文字)

第5問
①資本構造の健全性について説明するとともに、資本構造分析の中核となる比率
が建設業においてはどのような傾向を示しているか説明
資本構造の健全性は、資本の調達と運用に関するバランスに左右される。特に、
土地、建物、機械設備などの有形固定資産は、建設業の経営のために長期間保有
し活用する資産であるので、最も安定している自己資本により賄うことが理想で
ある。
なお、資本構造分析の中核となる比率は自己資本比率であるが、建設業では、製
造業における工場のような大規模な設備投資を必要としないため、有形固定資産
の構成比が低く、結果として、自己資本比率が低くなっていることが一般的であ
る。(221文字)

資本構造を経常的な利益との関係から分析するときに用いる比率について
資本構造を経常的な利益との関係から分析するときに用いる比率は金利負担能力
である。この比率は、営業利益、受取利息及び配当金の合計額を支払利息で割っ
た指標であり、経常的な収益である営業利益、受取利息及び配当金で、支払利息
を賄うことができる余力がどの程度あるかを表している。(134文字)

第6回
活動性の分析において利用される指標には回転率と回転期間がある。分析指標と
しては、回転期間の方が有用であるといわれることがあるが、その理由を回転率
と回転期間を示したうえで説明
回転率とは、一定期間に各資産や資本等が何回入れ替わったか、すなわち何回転
したかという指標である。一方、回転期間は、各資産や資本等が1回転するのに
要する期間をいう。つまり、回転率と回転期間は、互いに逆数の関係にあり、ど
ちらも各資産や資本等の活用度を示している。なお、回転率と回転期間の有用性
については、わかりやすさという点において回転期間の方が優れている。なぜな
ら、各資産や資本等の実態・性質等から考えられる適正な消費期間と回転期間を
比較することで、活動状況の適正さを判断することが容易であるからである。一
方、回転率の場合は、例えば年に何回転というふうに表示されるため、イメージ
がつかみづらい側面がある。(300文字)

第7回
貸借対照表の構成比率分析の意義及び方法について説明
構成比率分析とは、全体数値の中に占める構成要素の数値の比率を算出して、そ
の内容を分析する手法であり、百分率法とも呼ばれている。貸借対照表における
構成比率分析の場合は、総資産額(総資本額)を100として、各項目(資産・
負債・純資産)の数値を割合で示したものであり、割合で示しているが故に規模
の異なる事業者間の比較が容易となっている。(165文字)

第8回
企業会計システム(財務会計および管理会計)と財務分析の関係について説明
財務分析では、財務諸表として公表されている財務会計上の数値だけでなく、企
業内部の試算や目標数値といった管理会計上の数値まで活用してその分析を行っ
ている。
そういった意味では、財務分析は、財務会計と管理会計のいずれの領域とも関係
を有している。財務会計と関係が密接な財務分析を行うのは、投資家や銀行など
であり、その目的は、出資や融資に見合った収益性や安全性が確保されているか
を判断することにある。
一方、管理会計と関係が密接な財務分析を行うのは、企業内部の経理部門や管理
者であり、損益分岐点比率や安全余裕度といった指標を用いて、目標利益を確保
するための操業水準(完成工事高・完成工事原価)や固定費の額を確定すること
にある。(306文字)

第9回
①財務諸表分析という場合、損益計算書および貸借対照表から得られる情報に加
えてキャッシュ・フロー計算書に基づく分析が重要である理由について説明
企業の存続・発展のためには適切な資金管理が必要であり、そこを疎かにすると、
黒字倒産のような不測の事態を引き起こしてしまう可能性がある。というのも、
企業の収益(完成工事高)の計上と売掛債権(完成工事未収入金)の回収には時
間的な差があるのが通常だからである。また、損益計算書だけでは把握できない
固定資産の減価償却や基金への繰り入れ等の非資金損益項目の実態を明らかにす
るためにも、キャッシュ・フロー計算書に基づく分析は重要である。(212文
字)
②キャッシュ・フロー計算書を用いた財務分析比率のうち、流動性の分析に関す
る比率(流動性比率)を1つ挙げ内容を説明
キャッシュ・フロー計算書を用いた流動性比率としては、営業キャッシュ・フロ
ー対流動負債比率がある。この比率は、流動負債に対して営業活動の1年間の現
金及び現金同等物の創出能力がどの程度であったかを示す指標である。(104
文字)

第10回
損益計算書の実数分析の一方法である増減分析について説明。
損益計算書の増減分析とは、利益や利益率が増減した時に、どの項目が影響を与
えていたのか分析することです。具体的には、①収益面(販売量の増減)、②収益
面(販売単価の増減)、③費用面(変動費率の増減)、④費用面(固定費用の増減)
がどうであったのかについて、細分化することで、増減の主要因と有効な改善策
の把握に有効です。(154文字)

問11回
①限界利益について説明
限界利益は、売上高(完成工事高)から変動費(完成工事原価)を差し引いた利
益のことで、固定費の回収に貢献する利益であるので貢献利益とも呼ばれる。
②建設業が受注産業であるという特性を踏まえて、建設業の損益分岐点について
説明
建設業においては資金調達の重要性が高く、支払利息の負担が大きくなることが
多いことから、経常利益をもとに損益分岐点を計算するのが一般的である。その
際、「販売費及び一般管理費」、「支払利息」を固定費とし、「完成工事原価」
と「支払利息を除く営業外損益」をすべて変動費として計算する。具体的な計算
式は下記のとおり。損益分岐点の完成工事高=固定費÷(1-変動費率)(174
文字)

問12回
①建設業の特性として、定額(総額)請負契約が比較的多いが、このことが工事
の利益率に与える影響について
定額(総額)請負契約の場合は、工事が完成し原価が確定するまで、損益が確定
しないことになる。また、工事は現場の状況により、進行状況等が変化するため、
利益率も個々の工事によって異なることになる。(95文字)
②工事関連の資金立替状況を分析するための指標を挙げて、その意義と解釈上の
留意点について
未成工事収支比率:未成工事受入金を未成工事支出金で割った指標。未成工事収
支比率が100%以上であれば、請負工事の未完成部分について資金を立替する必
要はないため支払能力は十分といえる。
立替工事高比率:すでに完成・引渡した工事をも含めた工事関連の資金立替状況
を分析したものである。未成工事収支比率とは逆に、立替金額が計算式の分母と
なるため、この指標が高いほど、工事関係資金が滞っていることを意味する。な
お、両指標とも発注元との関係性や力関係が数値に大きく影響するという特徴が
ある。(237文字)

第13回
①一般的にいう付加価値の意義と2つの計算方法について説明
付加価値とは事業者が自らの努力により新たに生み出した価値のことである。し
たがって、購入した材料そのものに含まれる価値(材料費)や下請業者の活動に
より生み出された価値(外注費)は当然含まれないことになる。このようにして、
売上全体(完成工事高)から、付加価値ではない部分を差し引いて、付加価値を
算定する方法が控除法である。一方、付加価値とみなす項目を加算していくのが
加算法である。建設業においては主として控除法が採用され、具体的には、完成
工事高から材料費、労務外注費、外注費を控除して計算する。(243文字)
付加価値を分子とする生産性についての基本指標を2つ挙げ内容を説明
付加価値を分子とする生産性の基本指標には、労働生産性と付加価値率がある。
労働生産性とは、職員1人当たりの付加価値であり、付加価値を総職員数で割っ
て計算される。付加価値率とは、付加価値を完成工事高で割った指標であり、完
成工事高のうち事業者が自らの努力により新たに生み出した価値がどれだけ含ま
れているのかを表している。(157文字)

第14回
①健全性分析の意義について
資本構造の健全性を大きく分けると、次の3つに分類される、1つは資本をどの
ように調達しているのか(自己資金であるのか、借入金など他人資本に頼ってい
るのか)を示す指標であり、自己資本比率がその代表的なものである。2つ目は
調達した資本をどのように運用しているのかを示す指標であり、固定比率や固定
長期適合比率がその代表的なものである。3つ目は得られた利益をどのように分
配しているのかを示す指標であり、配当率や配当性向がその代表的なものである。
(217文字)

②健全性分析のうち、固定資産と長期的な資金調達とのバランスに関する2つの
比率の名称をを挙げ説明しなさい
固定比率:固定比率は、固定資産への投資を純資産の範囲内で実施しているか否
かを判定するための比率である。長期的に保有し活用される固定資産は、返済を
予定しない純資産で賄われることが望ましいという考えがある。
固定長期適合比率:固定長期適合比率は、固定資産もしくは有形固定資産への投
資が、純資産と固定負債によって賄われているか否かを判定するための比率であ
る。固定比率よりも分母が拡大しているため、数値は必ず小さくなるのが特徴。
(209文字)

第15回
①キャッシュ・フロー分析の意義を説明
キャッシュ・フロー計算書は、企業の資金管理を適切に行い、企業活動の実態を
把握するための重要書類である。企業の存続・発展のためには適切な資金管理が
必要であり、そこを疎かにすると、黒字倒産のような不測の事態を引き起こして
しまう可能性がある。というのも、企業の収益(完成工事高)の計上と売掛債権
(完成工事未収入金)の回収には時間的な差があるのが通常だからである。また、
損益計算書だけでは把握できない固定資産の減価償却や基金への繰り入れ等の非
資金損益項目の実態を明らかにするためにも、キャッシュ・フロー計算書に基づ
く分析は重要である。(263文字)

②キャッシュ・フロー計算書の実数分析について説明
キャッシュ・フロー計算書の実数分析は、単純分析、増減分析、均衡分析に大別
される。単純分析とは、ある期間のキャッシュ・フロー項目について、他と比較
することなく単独でその金額と内容を分析することをいう。増減分析とは、複数
の期間にわたるキャッシュ・フロー項目を比較してその増減を分析することをい
う。均衡分析とは、キャッシュ・フロー分岐点分析のように、企業の収入と支出
が一致する均衡点を分析する手法である。(198文字)