福井建材株式会社は、新機械を購入するか否かを検討している。現時点(第0年
度末)において、新機械(取得価額¥10,000,000)を購入する場合、4年にわた
って経済的な効果が発生すると予測されている。次の<資料>に基づいて、下記
の問に答えなさい。

1.この投資案から生じる各キャッシュ・フローの見積額
売上(キャッシュ・インフロー):8,000,000 (1年度)、7,000,000(2年度)、8,
700,000(3年度)、9,000,000(4年度)
費用(キャッシュ・アウトフロー) :5,000,000 (1年度)、4,000,000(2年度)、6,
000,000(3年度)、5,000,000(4年度)

(単位:円)
2.新機械の耐用年数は4年、残存価額はゼロであり、定額法を用いて減価償却
を行うものとする。
3.法人税率は30%である。当社は今後4年間にわたり黒字企業であると仮定す
る。
4.資本コストは税引後で6%とする。解答にあたり、次の現価係数を用いるも
のとする。現価係数0.943(1年)、0.890(2年)、0.840(3年)、0.792(4年)

問1 この投資から生じる年々の税引後の正味キャッシュ・フロー(増分現金流
入額)を求めなさい。なお、現在価値に割り引かないこと。・・・・税引後とい
う表現があるので、キャッシュ・インフローとキャッシュ・アウトフローの差し
引き(正味)なのは、間違いない。ただし、税金計算上は、非キャッシュ・フロ
ーの収入・費用も考慮するため、注意が必要。
(キャッシュ・インフロー)、(キャッシュ・アウトフロー) は、それぞれ売上
と費用に対応しているため、税金の影響を受ける。
非キャッシュ・フロー項目の検討
①減価償却費による節税効果・・・・取得価額¥10,000,000÷4年×30%=750,000

②売却損益・・・・現行設備の買い替えではないので考慮の必要なし。
③評価損益・・・・新規購入の設備と現行設備を合算した評価が問題になってい
るわけではないので考慮の必要なし。(そもそも、現行設備に減損の兆候がある
などの記載もないし・・・)
税金の影響を受けないキャッシュフローがないかの確認・・・・該当無し

1年度:売上(キャッシュ・インフロー)8,000,000 (1年度)×0.7-費用(キャッ
シュ・アウトフロー) 5,000,000 (1年度)×0.7+減価償却費による節税効果750,
000円(1~4年度同額)=2,850,000円

2年度:売上(キャッシュ・インフロー) 7,000,000(2年度)×0.7-費用(キャッ
シュ・アウトフロー) 4,000,000(2年度)×0.7+減価償却費による節税効果750,
000円(1~4年度同額)=2,850,000円

3年度:売上(キャッシュ・インフロー) 8,700,000(3年度)×0.7-費用(キャッ
シュ・アウトフロー) 6,000,000(3年度)×0.7+減価償却費による節税効果750,
000円(1~4年度同額)=2,640,000円

4年度:売上(キャッシュ・インフロー) 9,000,000(4年度)×0.7-費用(キャッ
シュ・アウトフロー) 5,000,000(4年度)×0.7+減価償却費による節税効果750,
000円(1~4年度同額)=3,550,000円

問2 時間価値を考慮しない累積的回収期間法(積上方式)によって、この投資
案の回収期間を計算しなさい。なお、計算の過程で端数が生じた場合は、年単位
で小数点第2位未満を四捨五入すること。本問では、各キャッシュ・フローは年
間を通じて平均して発生すると仮定する。
1~3年度の正味キャッシュ・フロー(増分現金流入額)は、2,850,000円+2,850,
000円+2,640,000円=8,340,000円
1~4年度の正味キャッシュ・フロー(増分現金流入額)は、2,850,000円+2,850,
000円+2,640,000円+3,550,000円=11,890,000円
新機械(取得価額¥10,000,000)が回収できるのは、4年度の途中となる。
1~3年度の正味キャッシュ・フロー(増分現金流入額)8,340,000円と新機械
(取得価額¥10,000,000)の金額差:10,000,000-8,340,000=1,660,000円
1~3年度の正味キャッシュ・フロー(増分現金流入額)8,340,000円と新機械
(取得価額¥10,000,000)の金額差:11,890,000-10,000,000=1,890,000円
10,000,000円をちょうど回収でいるのは、1,660,000円÷(1,660,000+1,890,000
円)=0.4676・・・年(小数点第3位を四捨五入)
3年度+0.47年=3.47年

問3 この投資案の正味現在価値を計算しなさい。計算の過程で端数が生じた場
合は、円未満を四捨五入すること。なお、正味現在価値がプラスの場合は「A」、
マイナスの場合は「B」を解答用紙の所定の欄に記入すること。本問では、各キ
ャッシュ・フローは年度末に一括して発生すると仮定する。
・・・・問1の回答に現価係数をかけるだけ。
-10,000,000(0年度末)+2,850,000円×0.943(1年)+2,850,000円×0.890(2
年)+2,640,000円×0.840(3年)+3,550,000円×0.792(4年)=253,250(A)